2026年2月11日水曜日

通天閣(上)

2.8 「朝日俳壇」より。

〈図書館へ寝に来る人の冬帽子 (入間市)西村幸一〉

 ボケの症状だと思う。夢と現の境目があやふやになっている。友人から病の知らせが来て、お大事にと返信したのだけれど、それが現実かどうか確信持てない。友人に訊ねるべきか、「あんた病気?」。「おまえが病気や!」

 朝、新聞取りに出たとき雪はなかった。昼過ぎ外出、一面真っ白。滑らんように転ばんように。

 ジュンク堂書店、11日イベントの打合せ。店内の改装終わって、3階が万博グッズ売り場になり、実用書が2階と4階に移動。営業しながらの作業、お疲れ様。

2.9 衆議院選挙、与党圧倒的勝利、野党無惨。日本国民はサナエ首相に白紙委任状を手渡した。やりたい放題やで。国民皆さん、覚悟はあるんか?

 

酒井隆史 『通天閣 決定版 新・日本資本主義発達史』上巻・下巻 ちくま文庫 各1500円+税



 初版は2011年青土社より。大幅に加筆、補論と年表を加え2分冊にして文庫化。

大阪のランドマーク「通天閣」とその足元に広がる空間・街と人々のコテコテの歴史。街と人はさらに南へ広がっていく。

 上巻の内容。

第一章・ジャンジャン町パサージュ論 

第二章・王将――坂田三吉と「デープサウス」の誕生 

第三章・わが町――上町合地ノスタルジア

「新世界」と呼ばれる界隈。もともとは1903(明治36)年大阪南区天王寺今宮で開催された第五回内国勧業博覧会の跡地を公園にする計画。「東洋一の商工業中心地をもって任じている一三〇万都市大阪」が「理想的娯楽機関」を作ろうとした。そのシンボルがパリのエッフェル塔を模した「通天閣」。公園、動物園、音楽堂、噴水池、休憩所が立ち並ぶ。公園の塔と通天閣の間にはロープウェイが走る。まさに「新世界」だが、時間が経つにつれ料理屋、茶屋ができ色街の雰囲気に。人と金が集まるとなれば、資本による開発、侠客の出番。

 帯より。〈暗躍する資本家、暴れる侠客、徘徊する詩人、将棋の天才。 百年を疾走する一大パノラマ〉。

(平野)

2026年2月8日日曜日

エデンの裏庭

2.4 家人買い物ついでにBIG ISSUE520買ってくれていた。販売員さんとすっかり顔なじみ。ヂヂイはまだ覚えてもらっていないと思う。表紙写真とインタビューはスティーヴン・キング、特集〈「空飛ぶ微生物」のはなし〉。 



2.5 古本屋さんで岡本綺堂文庫2冊。

2.7 朝、図書館。昔の神戸の本屋調べとヘルン先生神戸時代の作品読む。

 ジュンク堂書店でのトークイベントが来週に迫り、ヂヂイのお尻に火がついているのだけれど、あせっても仕方ない。もう一度お知らせ。

ジュンク堂書店三宮店のイベント告知。

「神戸にかつてあった、本屋の話」

2026年2月11日(水・祝日)15:0016:30 同店5階

 福岡宏泰(元海文堂書店店長)+平野義昌 司会・井上涼店長 

海文堂ジイサンズがボケボケウダウダ語ります。参加無料ですが、予約しとこうか~、という方はジュンク堂書店三宮店(078-392-1001)まで。立ち見ならぬ立ち聞きの可能性ありますので、ご了承のほど。

honto店舗情報 - 神戸にかつてあった、本屋のはなし

 

 吉田篤弘 『エデンの裏庭』 岩波書店 1900円+税



ファンタジー物語を題材に「物語の舞台袖」という創作と書評をミックスした4篇、プラス自作の小説『エデンの裏庭』。

「物語の舞台袖」。子ども時代の妄想――文字となった物語の「余白に目を凝らせば、舞台上で語られなかったことが浮上してくるかもしれない」。大人になった自分がその「余白」を覗き込んでみたらどうなるか? 

『不思議の国のアリス』『ガリヴァー旅行記』『星の王子様』『モモ』の「余白」を題材に創作。すると、また新たに「余白」が生まれる。

 たとえば『不思議の国のアリス』。著者は三月ウサギの時計に注目して創作する。それはアリスがお茶会に参加する前の話。では、お茶会が終わった後はどうなるかとか、登場人物たちの素性とか、時間と時計のこととか……、「余白」はまだまだいっぱいある。著者は書評として「報告」をする。お茶会の日付はいつか、その日付についての謎ときも。

『エデンの裏庭』は作家デビュー前の未完作品のタイトル。作中で主人公が書いている同名の小説を下敷きにして完成させた。また「余白」が生まれて、物語は続くよう。二重三重どころかどんどん物語が連なる。クラフト・エヴィングワールド。

(平野)

2026年2月3日火曜日

私の明治時代史

1.31 本屋さん、さんちかタウンの古書市覗いて、衆議院選挙期日前投票。別に選挙のせいではないけれど、慌ただしく一月終了。

2.1 「朝日歌壇」より。

〈赤電話電報夜汽車木賃宿 清張読みつつ昭和を旅す (松山市)三島誠以知〉

2.2 ジュンク堂書店でのイベントが近づき、「ギャラリー島田」と「ひょうご部落解放・人権研究所」それぞれの媒体で案内を掲載してくださる。感謝いたします。


渡辺京二 『私の明治時代史』 新潮選書 1650円+税



『私の幕末維新史』に続く連続講義録の二冊目。後の著作の原点。

 明治維新を革命と見るか絶対王政と見るか、戦後日本で論争があったが、渡辺はどちらの側にも立たず、当事者たちの立場になって考える。倒幕の武士たちは「最初から封建制度を打倒しようと思っていたわけではけしてありません」。新政府は、幕府が西洋列強と締結していた条約を放棄せず、開国。不平等や軍隊の駐屯などに反発はあるものの、それらを打破するために「強力な中央集権政府の構築と西欧的な強い軍隊の育成」が急務と考えた。近代的な社会制度や産業、科学の導入が必要で、封建制は大きな障害だった。封建制の第一は「身分的な差別の撤廃」=藩体制廃止。実務を担う中・下級武士たち(大久保、木戸、西郷ら)は殿様たちを権力の座から華族に棚上げる。そして財源確保のため地租改正。抵抗あり、反乱あり、困難なことをやり遂げる。士族反乱、明治憲法、大アジア主義、日清・日露戦争、頭山満ら浪人……、その時代を生きた人たちの言葉・行動をつぶさに見て、長所も短所も、矛盾した思想・行動も合わせて理解しようと努める。

 明治という時代は「日露戦争」まで、と言う。日露戦争に勝って近代的資本主義国として形を整え、国際的地位を向上させた。

〈……そのため日露戦争後、特に思想界・文芸界で懐疑的な風潮が生まれてきます。やはりそこには国家的な目標の喪失があるわけですね。大逆事件が起こったのが明治四十三(一九一〇)年です。これは日露戦争から五年経って起こりました。〉

(平野)