5.25~ 何ということもないのにせわしなく、日記をつけられない。臨時出勤あり、有給休暇あり。
拙著完成に向けてみずのわ社主が最終確認に奮闘してくれている。著者が頼りないから、厳しいチェックが入るのはありがたいこと。探せばまだ資料が見つかる。
ギャラリー島田スタッフさんたちが出版に合わせて展覧会を企画してくださっている。他にもイベントや本紹介を考えてくださる方々がいらして、感謝の一言。今しばらくお待ちください。印刷決定、となるまで浮かれることはできません。
読書も落ち着かない。以前古本市で見つけた本をあれこれ手にする。
北村薫『鷺と雪』(文藝春秋 2009年)は第141回直木賞受賞作だが、これがシリーズ物の最終巻とは知らなかった。図書館で前作を借りる。『街の灯』(2006年 文春文庫)、『玻璃の天』(2009年 文春文庫)。昭和初期、上流階級の女学生・花村英子がお付きの運転手(相談役、護衛役)別宮みつ子=愛称ベッキーと謎解き。兄が悩む暗号の解読、犬猿家族の仲直りに水を差すもめ事、友の失踪、豪邸での殺人事件・変死事件、行方不明の華族、ドッペルゲンガー現象などなど。モダニズムあふれる帝都、華やかな社交界を舞台に、きな臭くなる世情を映し出す。第一話「虚栄の市」では昭和七年(1932)五・一五事件、最終話「鷺と雪」では昭和十一年(1936)二・二六事件が描かれる。著者得意の文学、古典芸能、映画、音楽の話題も。
ヒロインは英子で謎解きの主役。ベッキーは英子にヒントを与え、補佐・護衛に徹しているのだが、本シリーズは〈ベッキーさん〉シリーズと呼ばれる。ベッキーの素顔が少しずつ明らかになる。時代の被害者であり、次代の若者を導く先達である。
5.28 花森書林・森本恵さんのご命日。
(平野)