8.4 出版社PR誌。「波」【特集 戦後八十年と「火垂るの墓」】。野坂昭如と高畑勲の対談(「アニメージュ」1987年6月号)を再録し、世代の異なる作家4名が「火垂るの墓」を語る。
「図書」〈戦後八〇年〉。美輪明宏の巻頭言「ナガサキを憶(おも)う」他、公害問題、受験、テレビドラマ、雑誌、家庭料理、葬儀など市井の暮らしや風俗・文化をに焦点を当てる。
「BIG ISSUE」507号〈デジタル民主主義〉、508号〈ベーシックインカムの導入を考える〉。
8.5 早朝、地域の資源回収と燃えるゴミ出して、墓参り。墓園は風あり、猛暑というほどでもない。下界のほうが暑い。テレビニュースでは40度越えのところがあちこちに。皆様くれぐれも熱中症にはご注意を。
■ 倉本智明 『フォルモサ南方奇譚』 春秋社 2500円+税
著者は1983年香川県生まれ、台湾在住、高雄の文藻外語大学准教授。台湾現代文学研究、翻訳家。
台湾は中華世界の疆域として扱われてきた。大陸の支配者が交代すればそれに翻弄される。広い大陸あちことから漢民族が渡来し、先住民である少数民族が数多存在する。特に台湾南部に多様な民族文化が育まれてきた。時に西洋列強国や大日本帝国が支配・侵略してきた。
著者は研究の合間にバイクを駆って南台湾を巡る。日常生活の下に埋もれた民族の歴史=伝説・奇譚を掘り起こす。
〈ただし、僕が本書で語りたいのは台湾大の新たな大文字の歴史ではなく、ぼく自身がこの島で生きるために必要だと感じた「いま」の欠片たちである。それは天朝体制下における義民に逆賊、文明人を辞任する西洋人の山師に「野蛮」な原住民の頭目、日本の人類学者に英国の博物学者、異神としての牛頭天王に瘟(おん)神としての王爺、そして帝国日本の支配に抵抗した「土匪」や共産主義者など、歴史と奇譚の間にはまり込んでしまった様々な「いま」である。〉
迷信、習俗、伝説と歴史が混交する。野蛮な殺戮に対する慰霊がある。数百年前の話もあれば、昭和の加害もある。
出版社カマさんからいただいた本。感謝。
(平野)