2021年8月28日土曜日

大正史講義

 8.22 緊急事態宣言発令でやっぱり図書館利用制限。貸し出し、閲覧できるが、椅子なし。元町原稿できない言い訳になるか。若杉慧調べ。彼は神戸小学校の訓導時代に同校校歌を作詞。須田珠美『校歌の誕生』(人文書院、2020年)を借りる。

 積ん読本解消は、まず読むこと、新しい本を買い込まないこと。でもね、見つけたときに買わないといけない本がある。しばらく我慢する。

 8.23 新聞の訃報欄を熱心に読んでいるわけではないものの、著名人がまた。俳優さん、こまつ座公演を何度も拝見した。作家さん、PR誌で闘病の様子を連載していた。

 8.24 図書館、引き続き「若杉慧」調べ。すぐに時間が経つ。時節柄長居はいけないのだけど。

 孫の写真と動画見てニヤニヤ、ヂヂバカチャンリン。すくすくのびのび。パパママはもちろんパパ方の両親も汗だくのことでしょう。

 8.26 今週も1日夏休みを取得したが、臨時でよそのマンション代行勤務。よそさんは何かと緊張。市外ゆえゴミ出しルールも異なる。

 8.28 図書館、神戸小学校調べ。若杉作詞校歌は1934(昭和9)年開校50周年紀念で製作。それより20年前、「神戸小学校開校三十年記念祝典行進歌」作られた。作詞者・作曲者不明。

ここのところ朝日新聞夕刊に美術記事。8.25はフェルメール「窓辺で手紙を読む女」修復終了。壁の部分にキューピッド出現。

 


 美術出版社のWebサイト。来年1月東京都立美術館で展示の由。

https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/24504

 同紙8.27では、姫路市立美術館常設展示のマチス「ニース郊外の風景」は松方コレクションの一つだった可能性、と。



神戸新聞サイトでも。

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202108/0014619410.shtml

 

  筒井清忠編 『大正史講義』 ちくま新書 1300円+税



 23人による大正時代研究。日本でも世界でも大事件が起きた。関東大震災もあった。

〈大正時代というのは一言で言えば、大衆の登場が始まった時代である。そしてその大衆が現れたのは、明治末期の日比谷焼き打ち事件においてであった。〉

 1905(明治38)年95日、日露戦争講和条約に反対する国民大会が暴動化した。メディアが伝えるのは戦果のみ。国力の限界を知らされず、国民は多大な犠牲(戦死、増税)に耐えた。過大な賠償を得て当然と考えた。人気政治家ブーム、獄中での秘密写真流出などメディアを利用した大衆政治のはじまりもある。そして昭和に発展、拡大し、現在まで続いている。

(平野)上記写真の花の上に我が家の天使ふたりの写真がある。ヂヂバカちゃんりん。

2021年8月21日土曜日

アドルフに告ぐ

 8.14 雨を心配しながら映画「キネマの神様」。主役予定の喜劇人がコロナで亡くなってしまった。代わった俳優・歌手は私が中学生の時からの大スター。男前というにはあまりに美形だった。でもね、過去と現実の落差がどうしようもなく情けない老人にぴったり合った。ベテランも若手も音楽も、作中の映画もよかった。コテコテギャグもお約束。

 8.15 雨が降ります、降ります。予定していた高槻墓参取り止め。「ひょうご部落解放」原稿仕上げる。

 8.16 片山杜秀『尊皇攘夷』読了。水戸藩徳川光圀の儒学の理想から生まれ、発展した「水戸学」。幕末、巨大な影響力となるが、藩内で無惨な流血の末滅びた。しかし、その「尊皇攘夷」はファシズムに姿を変えた。黄門漫遊記から儒学、水戸藩の宿命、幕末動乱、最後の将軍、そして三島由紀夫のルーツまで、硬軟取り混ぜ著者の頭脳が日本近代の源流を解明。

『あきない世傳』、こっちはすんなり。五鈴屋主従と支援者たちは江戸の大火にもライバル店の妨害にもへこたれない。「買うての幸い、売っての幸せ」のモットーを同業仲間まで広げていく。新たな支援者も出現。

 次の元町原稿に取りかからねばならないけど、停滞。また兵庫県も緊急事態宣言が出るようだ。図書館がどうなるか心配。

 8.17 でっかい本を買ってしまった。

 手塚治虫 『アドルフに告ぐ オリジナル版』 国書刊行会 20000円+税

昨年2月刊。全3冊と冊子、ケース入り。「週刊文春」198316日号から85530日号に連載(841213日号から85214日号まで休載)。本書は連載時のままの構成で復刻。85年の単行本は手塚が再構成したもの、以後の本も踏襲。

 迷った末にようやく注文した。

 


 8.18 仕事夏休み。雨も一休み、図書館で元町原稿「若杉慧」関連調べる。戦前神戸で教師をしながら同人誌に投稿。1943年、神戸事件を題材にした「淡墨」が芥川賞候補。同賞予選候補にも2回選ばれた。戦後の青春小説『エデンの海』はロングセラーになり、3度映画化されている(新しいところでは76年山口百恵主演)。75年、『長塚節素描』が平林たい子文学賞。駆け落ち同然で結ばれた妻を亡くす不幸あり、著名文学者をいきなり訪問したり、教え子が成長して作家になったり、エピソード豊富。

 夕方、孫からLINE電話。姉孫は今日の出来事話してくれる。妹孫は一段と重くなった様子。はしゃしでしゃべるヂヂバカちゃんりん。

 8.21 積ん読本、かたつむりペースで消化中。本屋店主著書、一人出版社文芸本すみ。いよいよ肉厚本、小林信彦『決定版 日本の喜劇人』(新潮社)を開く。



 少年時代からの芸能スターたちが相次いで鬼籍に。漫画家さんも。ご冥福をお祈りします。

(平野)

2021年8月14日土曜日

ヂヂ、風待ち

 8.11 週に3日労働なので、祝日や有給で休むと4日ぶり・5日ぶり出勤ということもある。居住者さんに「久しぶりやね~」と声をかけられる。

 帰りの電車内、最寄り駅の一つ手前でセミが飛び込んできた。地下に迷い込んだのだね。しばし車内を飛び回って、座っている私の胸に留まった。かわいそうだけど、そのまま手で押さえた。鳴き続けている。いいよ、ヂヂの胸でお鳴き。下車して、地上で解放、おしっこせずに高くへ飛んでいった。お盆前だから近しい人が帰ってきたのだと思うことにする。車内、駅構内、地下道で、胸を押さえてジージー音を出しているヂヂイは変だ。

 8.12 孫守りを言い訳にしばらく欠席していたギャラリー島田DM作業。既に夏期休暇に入り、展示を終えた作家さんたちが搬出作業。コロナ禍でも毎月複数の展覧会開催を続けている。9月も5人出展。

 8.13 大雨警戒。孫たちの写真・動画が毎日のように届く。ますます元気。別れてからもう4日も経った。ヂヂバカちゃんりん。

髙田郁『あきない世傳 金と銀(十一)風待ち篇』(ハルキ文庫)を早く読みたい。また江戸の街を大火が襲うらしい。目下難敵重厚本と奮闘中、もう少しの辛抱。



(平野)

2021年8月10日火曜日

ISSUE

 8.8 台風接近を心配しながら、お盆前の墓参りを早める。春のお彼岸以来だから草茫々。不孝者は黙って草むしりするしかない。

「朝日歌壇」より。

〈人通り減りて売り上げ激減すも「ビッグイシュー」の販売に立つ (江別市)成田強〉

「朝日俳壇」より。

〈いつか読む三十年の曝書かな (富士市)村松敦視〉

 

BIG ISSUE412、スペシャル企画〈かこさとし〉。

個人的なこと。編集スタッフの中に久々知人の名を発見。復帰され、安心。

 


 8.9 台風9号と共に娘一家は帰った。姉孫・妹孫との別れ、鼻と目の周りが熱くなる。第二子出産に伴う3ヵ月半の暮らし。ヂヂババは楽しく、賑やかで、慌ただしい日々だった。とはいえ、普段と違う生活に疲れも感じる。早速、孫の前では遠慮していたインスタントラーメンを食べ、2時間ドラマ(再放送どころか4度目5度目)を見、ゴロゴロする。

 

 ISSUE 和田誠のたね』 スイッチ・パブリッシング 1600円+税



 和田誠から編集者にインタビューを依頼。

〈和田誠は、一人の編集者に、創作の生成をテーマとしたインタビューを願った。/二人は信頼というだけではなく、かけがえのない時間の中で、豊かな未来を描く世界へとゆっくり歩いていった。/たとえばその物語は、少年時代の落書きからはじまる。〉

 

「和田誠」という木。その葉っぱ、実、幹、根っこ、さらに種へと迫っていく。

(平野)

2021年8月7日土曜日

新しい日々

 8.1 あと1週間あまりで娘・孫二人との暮らしが終了の予定。本日、姉孫図書館貸し出し多分最後。

 8.2 書店員にして一人版社主宰・北田さんから新刊本をいただく。

『芝木好子作品集 新しい日々』(汽水域 2000円+税)

 芝木好子(19141991年)の作品集。8月に没後30年を迎える。私、恥ずかしながらこの人の本を読んだことがない。戦前に芥川賞を受賞しているくらいの知識。毎回ずっと年下の北田さんから未知の作家を教えてもらっている。感謝いたします。

 


 8.4 仕事休み時間に『尊皇攘夷』を読んでいて、いつものウツラウツラ。徳川光圀と将軍に仕える儒学者・林羅山派との意見対立のところ。目は字面を追っているけど頭は寝て別の物語世界にいる。「林家」(はやしけ)の活字に「なんで林家三平?」と思って、目が覚める。こういう読書をしている。お粗末。

 

 8.5 午後猛暑の中、姉孫と買い物して、元町事務局に原稿を届ける。花森書林の寄ると、孫はあちこちで玩具や雑貨を見つけて、「これ何?」の連続。ヂヂにもわからないものあり。デパートのおもちゃ売り場とは別の発見をしたよう。絵本購入、ヂヂは次回の楽しみに。

 「みなと元町タウンニュース」更新。拙稿は「久坂葉子」最後の3日を追う。

https://www.kobe-motomachi.or.jp/motomachi-magazine/2021/08/02/townnews348.pdf

(平野)

2021年8月1日日曜日

尊皇攘夷

 7.23 元町原稿、久坂葉子最終回の予定。富士正晴の葉子追悼活動を追う。資料で葉子が生前、知人の新聞記者に竹中郁とのイザコザを語っていることを発見。竹中と葉子の父親は文化人サロンで親交があった。葉子の職の世話もしている。竹中が「VIKING」を批判。父親は葉子に売れない文学活動より結婚を期待、見合いを勧める。富士と竹中にどんな確執があったのか。富士の葉子宛書簡に、「VIKING」での発言・言動などに竹中が良い印象を持っていないのだろう、と書いている。竹中と富士の関係を探る。手がかりないと思っていたら、関西文学に詳しい林哲夫ブログにヒントがあった。

https://sumus2013.exblog.jp/23954952/

 『仮想VIKING50号記念祝賀講演会に於ける演説』(富士正晴記念館、2015年)。富士の講演嫌い。1949年倉敷で竹中と講演会。富士は7分ほどで降壇。竹中が一人で1時間半話した。講演会の詳細は不明で解決しない、何かむずがゆい。同時期の富士随筆に、倉敷の工場を見学したことが記されている。

 7.24 姉孫と図書館おはなし会。今日は落ち着きなく、ウロウロしたり寝っ転がったり。そういう日もある。

 

 7.25 「朝日俳壇」より。

〈梅雨深し本の匂ひにある昭和 (高松市)信里由美子〉

 7.28 早朝、寝床で微睡む私の額を踏む妖怪。飛び起きると、家人の手だった。前日2回目のコロナワクチン接種を受けた私を心配して熱がないか確かめたらしい。やり方が荒っぽい。

 7.30 妹孫生後2ヵ月。ますます飲んで寝て排泄快調。あやすと声を発する。姉孫はマイペース、にぎやかにダダをこねる。ヂヂバカチャンリン。



 NHK大河ドラマ「青天を衝け」の徳川慶喜役好演と聞く。『尊皇攘夷』を読み出す。

 片山杜秀 『尊皇攘夷 水戸学の四百年』 新潮選書 2000円+税


 

〈水戸学は尊皇攘夷の学問である。幕末維新を主導した思想である。しかし尊皇攘夷のうち、うしろの二文字はあとから付け加わったものと考えてよいだろう。〉

 水戸学の開祖は徳川光圀=黄門様。徳川御三家、天下の副将軍(正式な役職ではない)がどうして尊皇思想家になったのか、から話は始まる。光圀の生い立ち、藩が幕府に課せられた役割=負担、当時のアジア大陸の情勢=明から亡命してきた朱舜水の存在、何より大義を重んじる彼の歴史観。佐幕を正義とする「絶対の根拠」を突き詰めると尊皇になった。『大日本史』編纂は二百数十年かかった。

 幕末、水戸藩の沖合にも外国船が出没する。ペリー来航より四半世紀前に領民たちはイギリスの捕鯨船と交流していた。1824年、藤田幽谷の弟子・会沢正志斎が上陸した異国人を取り調べ、来航の真の目的は捕鯨ではなく植民地化、と判断。正志斎は直ちに『新論』を執筆、海防の重要性を説くが、禁書となる。吉田松陰が脱藩して水戸を目指すなど、志士たちが影響を受けた。著者はこの上陸事件こそが幕末の攘夷の原点、と言う。

 ドラマ・映画の黄門様、水戸の納豆、梅、近松の国性爺合戦、天狗党、三島由紀夫……水戸学を多角的に探り、近代日本のナショナリズムを解明する。

(平野)