9.13 「朝日歌壇」より。
〈図書館のやたらごっつい貸眼鏡秋の光の大活字めく (東京都)牧田涼子〉
〈原爆を描きし本を十五冊八月六日の教室に置く (上田市)笠井淳〉
〈薄給の息子が行くたび本を買う個人経営の小さな本屋 (名古屋市)百々奈美〉
高槻の親戚法事。大学生も帰国。
9.14 孫から敬老メッセージ届く。大事にしているシールを目いっぱい貼ってくれている。
9.15 新聞に著名人訃報が続く。ご冥福を。
9.17 長雨からようやく晴れて墓参り。
『大江健三郎を読む 文学と歴史の複眼的視点から』
小森陽一 成田龍一 長瀬海構成 集英社新書 1350円+税
小森は日本近代文学研究者で「九条の会」事務局長。1982年成城大学文芸学部に職を得、近所に住む大岡昇平と立ち話。ちょうど大江健三郎親子の姿が見えて、大岡が「光さん」と「大江くん」と教えてくれる。「さん」「くん」の理由を訊ねると、
〈「光さんの音楽は完成の域に達しているけれど、大江くんの小説はまだまだだからね」と、ニヤリとされました。小説家同士の相互評価がどれだけ厳しいものなのか、ということを、このとき私は突きつけられたように思いました。〉
成田は近現代日本史研究者。
〈大江を取り上げるのは、大江が「戦後社会」の全体に目配りし、長きにわたって発言を続けたとともに、いま一つ、二〇二〇年代の危機があるからです。世界史は冷酷に、目の前で新しい危機を発生させています。二〇二二年二月のロシアによるウクライナ侵攻、それが収束しないなかでのイスラエルとパレスチナの衝突。そうした現在、世界のなかで起きている危機をどう捉えればよいのか。一九七三年の時点で、すでに「新しい戦前」という言葉を用いて核時代の危機を指摘し、時代と向き合ってきた大江健三郎の営みを手がかりに答えを探っていこうというのが、この対談の趣旨です。〉(成田)
大江の初期短篇、エッセイ、晩年の作品まで読み直して、大江が書いた「戦争」「戦後」「『戦後』後」を考える。それは文学作品研究だけではなく、国際政治・社会問題・歴史を考えること。
小森は個人的体験=文学的語りで話を進め、成田が文学=フィクションと歴史学=科学を区別し、広い視野で作品を読む。
(平野)