10.6 「BIG ISSUE 日本版」創業者の佐野章二さん逝去、84歳。
https://www.bigissue.jp/2026/10/35191/
「BIG ISSUE」536号、特集〈オンライン化する「ギャンブル問題」〉。オンライン化で24時間365日賭博場開帳状態。
元町駅前の販売員さんに佐野さん逝去のお悔やみを申し上げる。
10.7 ノーベル化学賞、硤合憲三(そあい・けんそう)さん受賞。テロップの漢字読めないからテレビニュースを静かに聴いた。
10.8 10日(土)三宮で出版学会主催の公開イベント、ジュンク堂創業者トークあり、11日(日)は大阪難波で同学会がジュンク堂の重鎮ふたりにインタビュー(非公開)予定。ところが、重鎮のおひとりが体調悪くて、このヂヂイがピンチヒッターに。たとえて言えば、ロサンジェルス・ドジャースのMVPトリオ登場なのに、ポンコツが代打指名されたみたい。知人からは、「人前でしゃべるな、アホがばれる!」と言われているのに、恥さらし。
10.10 三宮の喫茶店でジュンク堂書店創業者・工藤恭孝さん講演会。ジュンク堂書店創業50周年を記念して出版学会が主催。書店・出版社・図書館関係者、一般読者ら会場満員の盛況。懐かしいお顔の皆さんにお会いできた。お互い年取った。工藤さんのお話は記憶力抜群で人名や数字がスラスラ。創業時のご苦労を改めて知った。私は最初から順風満帆でスタートして、書店業界に旋風を巻き起こした、と思い込んでいた。開店時は書店組合の反発もあり、出版社から本が思うように入荷せず、入口に週刊誌を積み上げていたそう。他都市の大型書店のアドバイスあり、協力してくれる出版社あり、社員の皆さんの努力あり、で地歩を固めてきた。
私は故村田耕平さんから工藤さんの書店組合でのご苦労をよく耳にしていたけれど、経営については初耳のことばかり。工藤さんは現場を離れておられるが、出版業界・書店業界だけではなく、神戸の将来についても気を配っておられる。
夕刻の懇親会にも参加。顔なじみの方や出版学会の方々(ほとんどが海文堂書店閉店後の入社)とお話でき、楽しい時間でした。
大江健三郎 『火山 旅への試み 大江健三郎デビュー前小説集』 講談社 1800円+税
大江が東京大学在学中に下宿した大家さん宅から小説原稿2篇「暗い部屋からの旅行」(1955年)と「旅の試み」(1957年)が見つかり、東大文学部大江健三郎文庫により本人直筆原稿と確認された。本書では、単行本未収録の「火山」(教養学部学友会機関誌『学園』1955年9月)と「黒いトラック」(『学生生活』1956年7月号、学園評論社)と合わせ収録。いずれも政治運動、平和問題、ヒューマニズム、若者の閉塞感がテーマ。大江の執筆活動スタート地点。後の作品の習作であり、大江が生涯実践してきた「書きなおし」の原点。
「火山」
ユマニスト党の党員だった従妹L子は同志に不信を抱いていた。L子は自殺。その当日、僕はS火山に向かう。途中鉱山技師と一緒になり、登ると、火山は外国軍の基地になっていた。二人は地元民からスパイの嫌疑をかけられる。火山が噴火しはじめる。L子が火葬される日だった。僕は彼女に対して傍観者だった、彼女の死に責任を負うべきでは、と悔いる。技師は新物質を探るため、また地元民を避難させるため、山に登る。
〈……僕は愛情に満ちた畏怖を彼に感じた。しかし僕は彼に協力する勇気を持っていないし、それが何か愚かな腹立たしいことのようにさえ感じる、この分別が僕をいつも駄目にした、L子の場合もそうだ、と僕は思った。空を炎やす火の流出を見詰めながら僕は技師に対して畏怖を感じているのか、L子に対してかわからなくなっていた。〉
大江逝去から3年。作家はまだ読者を驚かせてくれる。
(平野)