2026年7月21日火曜日

戦中派と缶チューハイ

7.1820 息子が用事で東京に行く。ついでにヂヂババも孫に会いに行くことに彼とはほとんど別行動。

 18日、ヂヂババ神田明神参詣の後、全員集合してランチ。孫と本屋さん。

 19日、ヂヂイは神保町、ババちゃんは買い物。午後娘宅でおやつ。孫姉妹がヂヂイにピアノで「ハッピーバースデイ」演奏。ヂヂイ感涙、ふたりをギュッ。晩ご飯食べて、バイバイ。

 20日ヂヂイ73歳誕生日。谷中墓地お参りして、ババちゃん買い物に同行、午後の電車で帰宅。

 神保町にて。今春新装オープンした三省堂書店神保町本店訪問。地上13階の威風堂々大ビルディング。上層階はオフィス。1階から3階まで書店。4階が「THEジャンプショップ」、集英社コミック関連グッズ売り場。棚のレイアウトに工夫をこらし、「知の渓谷」やZINEコーナー、神保町関連の雑貨コーナーもある。でもね、以前のお店に比べると書籍の在庫激減、弱小出版社の本も少ない。東京堂書店、書泉グランデとはっきり特色が分かれる。

 ヂヂイは東京堂が落ち着く。詩人の書簡集と本屋本購入。文房堂(ぶんぽうどう)で孫にみやげ「星の王子様シール」。古書「澤口書店」で古い文庫2冊買ったら、籤で割引のうえ、スタッフさんが家庭菜園で収穫したジャガイモまでいただく。孫にみやげ増えた。孫姉は前日買った本を読み終わる。集中力スゴイ。本棚にコミック『本なら売るほど』(KADOKAWA)の第3巻だけ見つけた。パパの本。3巻の回想シーンで、不動産営業マンが仕事でご縁のできた大家さんから店舗を借り古本屋「十月堂」開業、とわかった。その後住まいも借りることに。

 銀座教文館ナルニア国で孫の雑貨。

 帰宅したら、フェイスブックに誕生日祝いメッセージ数通。まったく投稿していないのに、気にかけれくださる人たちがいらっしゃる。御礼。



 旅のお供は、

タケダ2000GT 『戦中派と缶チューハイ ――アサイラム公園の夏――』 虹霓社(こうげいしゃ) 2000円+税



 福岡在住のミュージシャンが自作の同名楽曲をもとに小説化。世間から落ちこぼれてしまった中年男・梅田のひと夏の出来事。妻から小遣いもらって買った缶チューハイ持って、日中アサイラム公園(避難所、聖域という意味があるそう、著者が勝手に名付けたのだろう)で過ごす。一般市民は見かけない。ホームレスの自称公園管理者・ケン坊は空き缶回収で生計、元自衛隊員。酸素ボンベ引きずって来るサトちゃん、窃盗常習タシロ、それに長身・美形のユウコさん、夜のお商売のマアコさん他姐さんたち……、公園で出会う様々な境遇の人たち、みんな世の中からはみ出した人たちだ。小市民から見れば面倒な人たちだが、梅田はその人柄の良さでなかよしになる。

 初めて会ったサトちゃんと彼女なじみの店で乾杯。サトちゃんは幼少時に長崎で被爆して家族全滅、ひとり博多に出て来て……、その体験が語られる。店主とサトちゃんには古い因縁があるが、知り合ったばかりの梅田は踏み込めない。店主からもサトちゃんには関わるな、と釘を刺される。戦争と戦後の大混乱を生き延びた人たちの事情がある。認知症、病死で知り合いは減っていく。

梅田に仕事の世話をしてくれる人がポツポツ。底辺にいても、苦労人だからこそ、人を見る目はある。マアコさんに、嫁さん大切にしろ、働け、と諭される。

〈……アタシたちを見て気づいて欲しかったばい。人間は死ぬまで何とかして生きらな。楽しいばかりじゃダメばい。〉

 本書は信頼する読書人たちの推薦。購入者はタケダ2000GTの同曲最新バージョンが聴ける。ネットでも視聴可能。

(平野)

2026年7月16日木曜日

奇怪動物百科

7.14 じっとしていても汗が流れる。まだ溶けはしないだろうけれど、油断していると干からびるかも。

7.15 勤務マンション、居住者からまたも専有部に蜂の巣ありの知らせ。会社担当者の了解を得て処理。ベランダのエアコン室外機の裏側に私の拳ほどの大きさ。今シーズンマンションでの駆除は4つ目、我が家でも2つ取った。これも猛暑ゆえ?

BIG ISSUE531、特集〈睡眠を味方に〉。不眠で悩む人が多いそう。ヂヂイは早寝早起き、よく眠れる。


 

ジョン・アシュトン 『奇怪動物百科 新版』 高橋宣勝訳 山本貴光解説 ハヤカワ・ノンフィクション文庫 1500円+税



1992年博品社より単行本、2005年ハヤカワ文庫。今回新たに解説を付して刊行。

 著者ジョン・アシュトン(18341911)はイギリスの文献収集家、編纂者。民俗、社会史をテーマに30冊以上編集している。

 書名に「奇怪」とあるように、過去の人々が見たらしい、聞いたらしい、いたらしい、想像した、不思議な動物たちとその生態を万巻の書から紹介する。ドラゴン、ユニコーン、ケンタウロス、巨人、人魚……、19世紀のアシュトンから見て非科学的だったはずの想像上の動物たちだが、それでもあえて執筆。現代人も、そんなアホな、とバカにしてはいけない。

古代の賢人や中世の旅行家たちが得た情報をその時代の人々にどのように伝えたか、人々はどのように想像をふくらませたか。外見、習性、どこにいるのか、御利益あるのか、食べられるのか、毒か薬か……、あくまで伝聞情報として伝える人もいれば、実物を観察したかのごとく書く人もいる。未知の世界は恐ろしいけれど、興味はある。不思議は謎、想像はさらに奇想となり、幻想物語に登場するし、詩にもする。

 表紙のまん中の絵は「植物ヒツジ」。1696年にドイツの博物学者が描いた韃靼(タタール)の植物子羊。羊は茎の可動範囲の草を食べる。食べ尽くしたり、茎が折れると死ぬ。ほかにも紹介者がいて、実在と信じられていた。フランス16世紀の詩人がエデンの園でアダムが「植物ヒツジ」を発見する様子をうたっている。

子羊が莢の中にいる種類もあり、こちらは14世紀のイギリス人貴族がインドへ行く途中の国でのことと記述している。

(平野)

2026年7月12日日曜日

遠くの街に犬の吠える

7.7 あっちの権力者スポーツのルールにまで口出して捻じ曲げる。開いた口、ポッカ――ン! こっちの権力者は国民生活に関係ないことばっかりやりたがる。

7.8 絵本作家・林明子さん訃報。四十数年前、コーべブックス高槻店の児童書・ニシさんに林さんの絵本を薦めてもらった。今は子から孫が愛読。感謝と共にご冥福をお祈りします。

 事実はホラー小説より怖い。他人の唇を糸と針で縫う……、もちろん麻酔なしでっしゃろ?……、書くだけで貧血起こしそう。

 近畿梅雨明け。猛暑に対処。

7.11 孫に相撲番付など宅配便。

 

吉田篤弘 『遠くの街に犬の吠える』 ちくま文庫 2020



 単行本は2017年筑摩書房より。

 作家・吉田は編集者・茜に小説朗読を提案され、音響技術者・冴島に引き合わされる。冴島は12歳の時、野球で左目にボールが当たり、左の瞳は水色になり色彩感覚を失った。それから音を意識するようになり、常に小型録音機を持ち、「遠吠え」をひろっている。また、茜は代書屋・夏子を紹介。

 4人は、時期は異なるが、白井先生の辞書「バッテン語辞典」編集を手伝った、と判明。バッテンとは「×」。辞書から省かれた言葉、忘れられた古い言葉、生い立ちや履歴のわからない言葉をひろい集める作業。その白井先生が亡くなり、夏子の手元になぜか先生がある女性に送った手紙が遺った。先生の思いは女性に届いたのか、届かなかったのか、その言葉はどこに行ったのか。先生の「封印された言葉」が明らかになる。

(平野)

2026年7月6日月曜日

中上健次 路地のビジョン

 7.1 「朝日新聞」朝刊連載小説「早雲」始まる。戦国武将・北条早雲のお話。著者の砂原浩太朗さんは神戸元町育ち。

 通勤電車内、スマホスマホは相変わらずだけれど、本を読む人が何人かいらっしゃる。小学生は学習漫画や童話文庫を読んでいる。

7.2 BIG ISSUE530、特集〈市民による「水道」再生へ〉。



 本好き知人複数がSNSで紹介している本を注文。

7.5 久々の図書館、しばらくさぼっていた。

「朝日歌壇」より。

〈車窓から潮の匂いが流れきて視界にひろごる枯木灘見ゆ (東大阪市)池中健一〉

 ちょうど『中上健次 路地のビジョン』渡邊英理岩波新書960円+税)を読んでいる。中上は熊野の被差別部落=路地を舞台に作品を発表。199246歳で亡くなった。もっと長生きして書き続けてほしかった。ヂヂイは若い頃中上作品を読んだけれど、読みが浅かった。戦後の経済成長、性、暴力、差別がテーマということは、日本近代史を見つめ直すこと。



著者は大阪大学大学院人文学研究科教授。

〈中上は、路地の視座から(再)開発を描いた。(再)開発の動的過程は表象しづらいことも手伝い、小説作品で描かれる例は多くはないが、それを詳細に描いた点が、「戦後文学」における固有の位置を中上に与えている。中上における路地は、差別や(再)開発を表象する虚構の空間である。そこには、戦後日本社会の姿が、彼独自の周縁的な視野から描き出されている。/同時に、路地は、中上の文学的かつ理論的、思想的なビジョンであった。(後略)〉

(平野)

2026年6月30日火曜日

天国からの贈り物

6.27 花森書林店主から記念本を手渡される。

 2022年のこと、私がタウン紙に連載していたコラム「海という名の本屋が消えた」(みなと元町タウンニュース)100回を記念して、先代店主メグさん(現店主の姉)と製本家カクさんが原稿コピーを特装本に仕立ててくれた。翌235月、メグさんは病のため鬼籍に入った。私の連載はだらだらと244月(125回)まで続いた。メグさんはカクさんに連載終了後に残りの分も製本するよう言い遺しておられた。カクさんは律儀に約束を守り、この度完成。有難く、ありがたく、うれしいこと。天国からの贈り物です。改めてメグさん、カクさんに感謝申し上げます。

コラムはみずのわ出版社主はじめ多くの方々に助けていただき、昨年『神戸元町ジャーナル』と改題して出版できた。まだまだ調べ残したこと、書き洩らしたことあり。間違い訂正もしなければ。






6.28 「朝日歌壇」より。

〈古書店のはずが本棚狭くなり、フィギュアとトレカ幅を利かせる (相馬市)根岸浩一〉

6.29 訃報、美輪明宏さんが今月20日に亡くなっていた。91歳。ご冥福を。

6.30 未明から家族はテレビでサッカー観戦。ヂヂイは通常通り睡眠。ニュースで王国ブラジルに惜敗と知る。選手たちスタッフさん他関係者皆さんに拍手。

(平野)

2026年6月27日土曜日

空飛ぶ馬

6.21 娘から「父の日」祝い着。ヂヂイ「恥痴の日」。

6.22 会社の全管理人が集まる研修会。6070代が約150名、日々真面目に業務に励んでいる、はず。会場に向かう途中、男性から道を尋ねられる。「若い人より年配の人に訊ねた方が、と思って」とおっしゃる。同僚と判明して一緒に行く。

6.23 本屋さんで取り寄せ依頼。あとから確認の電話あり。担当さんは珍しいお名前。そう言えば、お店では皆さんの名札は店名のみで個人名記載しなくなっている。

6.24 仕事先マンションのお部屋ベランダに蜂の巣(私の拳の半分くらい)あり、会社と居住者の了承を得て駆除。管理人の仕事は共用部分だけだから手続き必要。

6.25 朝、東北で地震。台風も接近中。災害列島の宿命。今日は会社の健康診断。

 読んでいる本に、〈陰暦五月の梅雨の晴れ間、言葉本来の意味での皐月晴れの日であった。〉の一文。本を閉じて外に出て、空を見上げて、晴れならぴったりなのだけれど、梅雨真っ最中ゆえ、そうはいかない。

北村薫『空飛ぶ馬』(創元推理文庫、19944月初版、7717版)。



〈水無月のころ、円紫さんとの出逢い――ショートカットのは十九歳〉(帯より)

 ミステリー小説だが、殺人や凶悪事件は起きない。女子大学生が日常生活で持った疑問や謎、偶然関わってしまった事件の裏側などを、洞察力優れた落語家・春桜亭円紫(しゅんおうてい・えんし)の助言を得て解いていく。落語家は教授の紹介で知り合った国文科の先輩。

6.26 サッカーワールドカップは我が国でもお祭り騒ぎ。強豪チームになったということか。今日午前中のゲームは決勝トーナメント進出がかかる。ヂヂイは帰宅して、夕刊で引き分け、進出決定を知る。

(平野)

2026年6月21日日曜日

神風連とその時代

6.14 「朝日歌壇・俳壇」より。

〈本屋みな消えて跡地に居酒屋とパチンコ店の駅前通り 〈鎌倉市〉遠藤千草〉

〈緑陰や尻ポケットに文庫本 (印西市)伊藤博康〉

6.15 BIG ISSUE529、特集〈社会運動って何?〉。実践者たちの言葉。「自分たちが幸せに暮らすための一つの手段」。「当たり前への反逆の実践」。「社会の死角を可視化する」。表紙とインタビューはイギリスのシンガーソングライター「Raye(レイ)」。



6.18 7月家族東京行き。ヂヂイは特に用事なく、荷物持ち。

6.20 梅雨の晴れ間が続いていたけれど、今日は朝から雨。孫に宅配便送って、ギャラリー島田DM作業。スタッフさんが展示中の作家さん(神戸出身)に紹介してくださる。

 

渡辺京二 『神風連とその時代』 中公文庫 1200円+税



 初版は1977年葦書房より。2006年洋泉社MC新書、2011年洋泉社新書y

「神風連(しんぷうれん)の乱」は1876年(明治9)の士族反乱。74年(明治7)の佐賀の乱から、76年秋月の乱・萩の乱、77年(明治10)西南戦争へと続く。神風連が他の乱と異なる点は、参加者約170名のうち死刑・獄中死を含めて7割の人が死亡ということ。渡辺は「時代を否認するものの一種の集団自決であった何よりの証拠」と断言する。

「神風連」は世間による「戯称」。正しくは「熊本敬神党」。「国家統治原理としての古代神道を純粋な形で復元し、その復活をもって幕末の危機を克服しようとしたところに思想の中核を見ることができる」。尊王攘夷を理念とするが、武力闘争とは一線を画し、リーダー林櫻園(はやし・おうえん)の「神事は本なり、人事は末なり」=神事専念の教えを守った。櫻園による宗教的秘密結社と言える。師亡きあと、門弟たちがなぜ命を懸けて明治新政府に対して乱を起こしたのか? 熊本士族の動向、櫻園の思想、後継者たちの人物像、敬神党の思想的意義を資料から読み解く。

(平野)