2025年9月4日木曜日

断腸亭日乗(四)

 8.23 元町のこうべまちづくり会館で開催、「海港都市神戸の今昔」(神戸地図研究会主宰)のトークイベント聴講。地図研究会代表、鳥瞰図絵師、神戸市公文書館職員(都市史の先生)が登壇。江戸時代末期の絵図、明治以後近代測量図、空撮写真、鳥瞰図などの資料を比較検証して、神戸の街の発展・成長・変遷を見る。将来の都市づくりにも役立つ。

8.24 「朝日俳壇」より。

〈図書館の絵本だいじに半ズボン (福島県塙町)安部みさ子〉

 前職退職後、社会運動団体の機関誌に連載してきた読書案内の最終回原稿校正終了。季刊だが、原稿掲載は3回、計29回、10担当させてもらった。長くなったと思うので降板をお願いしていた。硬派の誌面にヂヂイのゆるい選書は似合わなかったでしょうが、許してくださった編集部他関係皆さんにお礼申し上げる。

8.27 今週も夏休み取得。久々図書館、目当ての論文誌は見つけたものの、論文が見当たらず。

8.28 会社の健康診断。同じグループの人が拙著のこと「新聞見た」と話しかけてくれる。福岡アリス以外では初めて。そのアリスから、新聞書評の見出しを書いてくれたのは飲み仲間のシンさんと知らされて、彼女にお礼メール。

 市内中央区マンションの女性刺殺事件、容疑者の動きが少しずつ明らかになってきた。栄町通、中央郵便局、西元町駅……と尾行、わが街が惨劇の発端になってしまった。被害女性のご冥福をお祈りする。

8.30 家人と京都大谷本廟墓参り。阪急電車も繁華街・観光地、いつもと比べて人が少ないと思っていたが、やっぱりバスは満員、久しぶりの錦市場も大混雑。河原町の丸善に寄る。拙著をちゃんと置いてくださっている。感謝。売れ行き状況は訊ねず。

8.31 九州在住の幼なじみから電話。年賀状だけの付き合いゆえ、話すのは20余年ぶり。拙著を送ったら地元のお菓子をくださった。通読したと感想。再会を約す。彼は大手の書店に勤め、大阪から西日本あちこち異動して定年を迎えた。

9.1 福岡アリスからメール。今回は飲み会誘いではなく、とってもありがたい知らせ。11月に夏葉社社主のドキュメンタリー映画が神戸と姫路で上映されるそう。早速地元映画館にチラシをもらいに行く。




 先日個展を開催された画家・カズさん(96歳、海文堂でお世話になった)からお手紙をいただく。会場にはお見えでなかったが、世話役のセ~ラ編集長に近況を聴いていた。お礼のハガキ投函。

 

 永井荷風 『断腸亭日乗(四)昭和八-十年』 中島国彦・多田蔵人校注 岩波文庫 1150円+税



 相変わらず荷風は文壇・出版社・マスコミと距離を置く。時流に乗った文学者たちとカフェで遭遇しても目も向けない。日本ペンクラブ設立(昭和1011月)加入の勧誘も辞退。特定の知人たちとあっさりした交際を続ける。読書と執筆、庭いじり、日が暮れれば銀座に出かけ夕食。喫茶店や甘味処で友人たちと歓談

荷風が散歩で目にする東京は関東大震災後の復興もあり、江戸・明治初期の面影がどんどん消滅している。江戸文人の随筆や幕末・明治初期来日外国人たちの日記・著作から懐かしい時代を追想する。日記には町の風俗(娼家の話など)や女性との交際も記録。

 この時期、荷風は大切な友人・知人を亡くす。敬愛する巌谷小波(昭和8.9)、主治医・大石国手(昭和101)、校正家・神代種亮(昭和10.3)。また、長年の友人が荷風の私生活について雑誌で発表したことから(金銭の問題もあり)絶交(昭和10.8)。

 世相としては、天皇機関説排撃されたり、陸軍内の抗争事件。

(平野)