10.16 政治の世界は権力の奪い合い。狐と狸の権謀術数。誰かがサイコロ転がしているのだろうけど、ヂヂイはアベ一派もイシンも嫌。
10.18 ギャラリー島田DM作業、4ヵ月ぶりで手が動かん。ヂヂイにとってはボケ進行防止リハビリだから継続せねば。帰りに買い物して、花森書林。古本市出張が連続していて忙しいのに、古書業界機関誌の捜索をお願いする。
10.19 「朝日歌壇・俳壇」より。
〈誰へ向けての気遣いだろうフェミニズムの本はカバーをかけてから読む (柏市)伊藤智紗〉
〈終活に古本五冊売りに行き古本五冊買つてしまひぬ (延岡市)片伯部りつ子〉
〈灯火親しかつて信濃に読書(よみかき)村 (立川市)和田秀穂〉
「読書村」は現在長野県木曽郡南木曽町(なぎそまち)読書。
10.21 寒い、外に出たら手がかじかむ。昨日、家人は仕事から帰宅して「暑っつい」と言ってクーラーつけたのに。
髙田郁 『志記(一) 遠い夜明け』 ハルキ文庫(角川春樹事務所) 720円+税
待望の新シリーズ。これまで同様、封建制度のもと、女性が志を立てて生きる姿を描く。今回主人公二人、黒兼藩松平家の侍医の娘・美津と備前の刀匠の娘・暁(ぎょう)。ともに文化元年(1804)清明の日(春分の次の二十四節気。草木、水清らか、風が心地よい季節)生まれ。19歳のとき、江戸で出会う。美津と暁の道がどう交わり、進んでいくか。
黒兼藩は架空の藩、京から片道三十里、砂鉄の産地、北から南へ大きな川が流れ、南の果ては播磨灘、とある。播磨中部か但馬南部の山間部と想像。
冒頭、解剖場面。美津が生まれるずっと以前、祖父が藩主の許しを得て秘密裡に刑死人(女)の腑分けを行った。首のない死体、熊討ちの猟師が執刀、祖父が臓器をつぶさに調べ記録し、その図を絵師に描かせる。
〈何ということか。/肺は、開いた蓮の花を逆さに伏せた形ではなかったか。/心の臓は鬼灯、肝の臓は木の葉に似たものではなかったのか。/永く信じられてきた五臓六腑図とは似ても似つかぬ。/これが、これこそが、ひとの臓器の真の姿だというのか。(後略)〉
これまで著者は惨劇の場面を描いていないと思う。事故死、病死はあった。医療と刀剣を主題にする作品ゆえ、未踏の描写に踏み込んだ。
著者は毎回主人公をいじめるから、きっと艱難辛苦が待ち受けている。