12.16 記載忘れ、12.14「朝日歌壇」より。
〈鼻眼鏡の親父ちんまり坐りゐる街の古書肆(こしょし)を文化といふなり (浜松市)久野茂樹〉
12.18 JR六甲道駅前の灘図書館に行くのに遠回り、バス乗ってお寺参り。妙光院「馬頭観音」参詣終えて、またバスで阪急六甲駅、徒歩で図書館。JRで三宮、本年最後の書籍購入。まだ家人の雑誌を買いに来なければならない。買い物して3時間半の散歩。
「BIG ISSUE」517号、エッセイ特集「道草、寄り道、回り道」。木下龍也、岡崎武志、伊藤比呂美、津村記久子、星野智幸ほか全10名。「これまで、まっすぐに進まなかったことで失ったこと、得たことなどの悲喜こもごもについて」。
12.20 早朝、最終の地域資源回収。家人の命により掃除。自分の机回りは片付かない。
中央図書館に行く途中で図書館カード忘れに気づき引き返す。いつものドジ、ボケボケ。
12.21 「朝日俳壇」より。
〈公園の落葉(おちば)に座りカフカ読む (小平市)野口佐稔〉
家人と大谷本廟墓参。雨の京都、頭の中は渚ゆう子「京都の恋」(作詞・林春生、作曲・ザ・ベンチャーズ)。大谷さんから高台寺まわって八坂神社お参り。
浅見淵(あさみ・ふかし、1989~1973年)、神戸市生田区(現在中央区)中山手通生まれ、県立神戸二中から早稲田大学高等予科、早稲田大学国文科卒、小説家・評論家。横光利一、尾崎一雄、井伏鱒二ら早稲田出身作家のまとめ役。全国の同人誌にも目を配り、新人・若手を見出し、批評で取り上げて支援した。大正時代から数々の同人誌にかかわり、作品を発表し、仲間たちと交流。文学史に大文字で残る作家、一時代を築きながら忘れられた作家、無数の無名作家たち、大正・昭和の文学と文壇を回想する。
「大正」は15年12月25日まで。翌日から31日まで6日間が昭和元年。
〈しかし、本当に大正時代が終わったという感じが泌々としたのは、明くる年の昭和二年七月二十五日の新聞の朝刊で、芥川龍之介の昨暁の自殺を知った時である。(中略)そのすこし前、近くの小銀行が倒産して戸を閉めてしまい、髪結い、大工などといった連中が、二、三日据わり込んで離れなかったという騒ぎがあり、芥川の死を知るに及んで、その死とあいまって、なんとなく時勢の険悪さが感じられ、大正時代が急に遠くになってしまったように痛感されたものだった。〉
1966年から67年「週刊読書人」連載、68年講談社から単行本。
神戸を詠んだ短歌。
〈ふるさとは港町なりさまざまの太笛聞きてわが生ひ立ちき〉
〈戦災に失せしわが家の跡に寝ね間取り辿ればちちははの見ゆ〉
神戸関連では稲垣足穂の話「イナガキ・タルホと少年」。関東大震災の翌年に足穂がダンス教師していたことや、戦後すぐ共産党活動をしていたこと、など。
足穂のダンス教師時代のことは衣巻省三が「へんな界隈」(『黄昏學校』版画荘文庫、1937年)で書いている。「鼻眼鏡」で有名な美男子。ダンス教室の女性たちにもてるが、女嫌い。
(平野)