4.9 勤務先事務所に留守電録音。携帯電話会社から電話使えなくなるという音声あり、連絡するよう誘導する。テレビの情報番組で取り上げていた詐欺。先日は自宅に健康保険医療費還付の電話あり。警視庁を名乗るのもあった。メールもたくさん届く。クレジット会社、金融、宅配、通販……。詐欺の罠が日本中、世界中にばらまかれている。気をつけましょう。
4.11 相変わらず留守電録音。今日のは総務省を名乗る。
4.12 家人と〈パウル・クレー展〉(兵庫県立美術館)。館内ほとんどの作品が写真撮影可となっていて、あっちでもこっちでもパシャパシャカシャカシャ。カップルがそれぞれ撮影していたりして、うるさい、邪魔。図録とかポストカード買えば~。「撮影可」のサービスいらない。
帰りに〈ワールドエンズ・ガーデン〉に寄って、拙著案内チラシ手渡す。
4.13 「朝日俳壇」より。
〈花冷えや本屋の消えた文化都市 (三郷市)木村義熙〉
「2025年日本国際博覧会 大阪・関西万博 2025」開幕日。お天気悪くて観覧者お気の毒。在阪放送局はおべんちゃら報道しているけど、関係者は盛り上がっているのかな? ヂヂイはめんどくさいので行かない。
■ 髙村薫 『墳墓記』 新潮社 1900円+税
意識不明、重態の「男」が仮死状態のなかで考える、夢を見ている。名は不明。素性がだんだん明らかになる。能楽師の家に生まれたが、小学生の時、祖父が狂気から面をつけ能衣装のまま自死する。粗暴な父を嫌い、能楽師にならず、法廷速記者として長く働く。娘は飛び降り自殺。「男」は古稀を期に家族親族友人知人一切と縁を切り出奔。数年経ち自身も自殺を図り、いま生死の境にいる。
「男」の脳内に浮かぶのは幼少期から親しんだ古典文学。記紀万葉はじめ、歴史書、和歌、物語の数々、能、猿楽。日本文学史に表現された生と死の世界をさまよう。かつて見た映画や舞踏、それに音楽、家族との生活を思い出す。
能楽から逃走した「男」は改めて祖父と父の芸能を理解する。「男」にはもう身体感覚はない。意識だけの夢幻の世界にいる。祖父と父が演じる死者と生者、亡霊、鬼。その墳墓の舞台を見つめている。
(平野)