2025年9月11日木曜日

「さびしじに」 海鳴り38号

9.2 野球観戦、燕組対巨人、京セラドーム。優勝争いは虎組で間違いなし。巨人はなんとか二位を維持したい。わが燕は最下位で終わるだろう。勝負という意味ではなんとも緊迫感なく、燕は得点機を何度も逸し、敗戦。燕応援の楽しみは主力打者の本塁打くらいなのだが、不発。

9.4 久方ぶりに台風15号接近の模様。雨ほしい。

午前中図書館。やはり目当ての論文見つからず。

 作家・評論家の紀田順一郎さんが7月に亡くなっていた。90歳。

9.5 台風通過。

 歌手・橋幸夫さん死去、82歳。昭和の大スター、引退、復帰、認知症公表などすべてが話題になった。

9.6 親戚女子(家人の従姉妹の孫)が海外留学(1年)に旅立つので送別ランチ会、墓参り。我が家と家人一族を見渡して海外で長く生活する者は先の戦争で出征した家人の父(=彼女の曽祖父の弟)以来。

9.7 「朝日俳壇」より。

〈旅先に本屋を巡る夏休み (佐伯市)川西敦子〉

9.9 台風のあと少し暑さ和らいだと感じたが、猛暑戻る。午前臨時出勤、午後内科診療。

 編集工房ノアのPR「海鳴り」38。同社と縁の深い版画家・粟津謙太郎と作家・島京子の追悼誌面となった。社主・涸沢純平が書く。「粟津謙太郎画文抄」、「さびしじに――島京子さん小景」。粟津は202488日死去、享年81。島京子は同年916日死去、享年98

「さびしじに」? 作家仲間と旅した荒れ城とその城下町(今は観光地として有名)で、島が「こんなところに住んでいたら、寂し死にするわ」と言った。


 

(平野)

2025年9月4日木曜日

断腸亭日乗(四)

 8.23 元町のこうべまちづくり会館で開催、「海港都市神戸の今昔」(神戸地図研究会主宰)のトークイベント聴講。地図研究会代表、鳥瞰図絵師、神戸市公文書館職員(都市史の先生)が登壇。江戸時代末期の絵図、明治以後近代測量図、空撮写真、鳥瞰図などの資料を比較検証して、神戸の街の発展・成長・変遷を見る。将来の都市づくりにも役立つ。

8.24 「朝日俳壇」より。

〈図書館の絵本だいじに半ズボン (福島県塙町)安部みさ子〉

 前職退職後、社会運動団体の機関誌に連載してきた読書案内の最終回原稿校正終了。季刊だが、原稿掲載は3回、計29回、10担当させてもらった。長くなったと思うので降板をお願いしていた。硬派の誌面にヂヂイのゆるい選書は似合わなかったでしょうが、許してくださった編集部他関係皆さんにお礼申し上げる。

8.27 今週も夏休み取得。久々図書館、目当ての論文誌は見つけたものの、論文が見当たらず。

8.28 会社の健康診断。同じグループの人が拙著のこと「新聞見た」と話しかけてくれる。福岡アリス以外では初めて。そのアリスから、新聞書評の見出しを書いてくれたのは飲み仲間のシンさんと知らされて、彼女にお礼メール。

 市内中央区マンションの女性刺殺事件、容疑者の動きが少しずつ明らかになってきた。栄町通、中央郵便局、西元町駅……と尾行、わが街が惨劇の発端になってしまった。被害女性のご冥福をお祈りする。

8.30 家人と京都大谷本廟墓参り。阪急電車も繁華街・観光地、いつもと比べて人が少ないと思っていたが、やっぱりバスは満員、久しぶりの錦市場も大混雑。河原町の丸善に寄る。拙著をちゃんと置いてくださっている。感謝。売れ行き状況は訊ねず。

8.31 九州在住の幼なじみから電話。年賀状だけの付き合いゆえ、話すのは20余年ぶり。拙著を送ったら地元のお菓子をくださった。通読したと感想。再会を約す。彼は大手の書店に勤め、大阪から西日本あちこち異動して定年を迎えた。

9.1 福岡アリスからメール。今回は飲み会誘いではなく、とってもありがたい知らせ。11月に夏葉社社主のドキュメンタリー映画が神戸と姫路で上映されるそう。早速地元映画館にチラシをもらいに行く。




 先日個展を開催された画家・カズさん(96歳、海文堂でお世話になった)からお手紙をいただく。会場にはお見えでなかったが、世話役のセ~ラ編集長に近況を聴いていた。お礼のハガキ投函。

 

 永井荷風 『断腸亭日乗(四)昭和八-十年』 中島国彦・多田蔵人校注 岩波文庫 1150円+税



 相変わらず荷風は文壇・出版社・マスコミと距離を置く。時流に乗った文学者たちとカフェで遭遇しても目も向けない。日本ペンクラブ設立(昭和1011月)加入の勧誘も辞退。特定の知人たちとあっさりした交際を続ける。読書と執筆、庭いじり、日が暮れれば銀座に出かけ夕食。喫茶店や甘味処で友人たちと歓談

荷風が散歩で目にする東京は関東大震災後の復興もあり、江戸・明治初期の面影がどんどん消滅している。江戸文人の随筆や幕末・明治初期来日外国人たちの日記・著作から懐かしい時代を追想する。日記には町の風俗(娼家の話など)や女性との交際も記録。

 この時期、荷風は大切な友人・知人を亡くす。敬愛する巌谷小波(昭和8.9)、主治医・大石国手(昭和101)、校正家・神代種亮(昭和10.3)。また、長年の友人が荷風の私生活について雑誌で発表したことから(金銭の問題もあり)絶交(昭和10.8)。

 世相としては、天皇機関説排撃されたり、陸軍内の抗争事件。

(平野)

2025年8月21日木曜日

ダメ男小説傑作選

8.17 北区鈴蘭台で開催、神戸市の文化振興事業「みんなの本屋講座」キックオフイベントにアリス福岡と一緒に登壇。海文堂元バイト君キタさん(有名書店店長で出版社主宰)企画にお呼びいただく。本屋開業を志す方に向けてのイベントなのに、敗退ヂヂイ二人を起用するとは、「お主もワルよの~」。私の新刊本紹介も考えてくださっている。感謝です。午前中の開催なのに会場ほぼ満員。本好きの方々は多い、けれど本屋は衰退。

ヂヂイ二人はキタさんの差配で、海文堂のこと、本屋さん減少について思うことなどをしゃべり、無事終了。

本イベント関係者(ブックカフェ、私設図書館など本による街の活性化を実践している方々)、図書館の皆さん、神戸市職員さん他関係者皆さんにお世話になりました。懐かしい海文堂のお客さんや業界新聞の記者さん、飲み仲間イチさん・のの様も来てくださった。ありがとさん。

8.18 勤務のマンション、私の勤務時間前に工事で出た産業廃棄物を管理人室に仮置き(触れるな、捨てるな、後日回収、のメモ)。会社の危険物扱いに怒り、厳重抗議。

8.19 本屋さん。近代出版流通史、文人の日記、コミック、変な組み合わせ。コミックのおまけにキャラクターのステッカーもらったけど、あげる人いない。

8.20 本日夏期休日取得。BIG ISSUE509、特集〈走れ! ローカル鉄道〉。このところ家人が遠出した時など販売員さをお見かけしたら買ってくれていた。私が元町駅前で購入するのは久しぶり。

 午後、会社の工事担当者から廃棄物処理について謝罪の電話。ただ廃棄物の仮置き場は他に適当な場所がなければ管理人室も選択肢としてあり得る、とのこと。それでも「拒否」の意志は伝える。

 夕刻自宅ポストに拙著印刷ゲラあり。メモないし連絡もない。これを持っている人は限られる。返却してもらうものでもないと思うが、暑い中わざわざ我が家を探して戻してくれたのか?

 読書は、『ダメ男小説傑作選』(鹿美社編、発行)。日本近代小説の「ダメ男」たちを集めたアンソロジー。モラハラ、セクハラ、DV、浮気、怠惰、犯罪、アル中、ヤク中……。封建制度を引きずり、家族に甘え、欲望に溺れる男共。あかんたれ、あまえた、ボンボンならまだ笑いですまされるかもしれないが、「病」の領域になると読んでいて胸が悪くなる。「ダメ男」は「近代の宿命」なのか。

 田山花袋「少女病」、葛西善蔵「子をつれて」、坂口安吾「いずこへ」、太宰治「ヴィヨンの妻」、西村賢太「柩に跨がる」など16篇。


 

(平野)ヂヂイも「ダメ男」を自負。

2025年8月14日木曜日

ハーンと八雲

 8.8 マンション住民さんの孫ちゃんたちが遊びに来て、毎回管理人ヂヂイの相手をしてくれる。おもちゃ扱い?

8.9 家人がネットのフリマサイトで拙著出品を発見。定価より高く売っている。だんだん値下げするらしい。他人の本で商売すんな、と思う。

孫たち来るので朝から掃除ほか準備。午後駅まで出迎え。元気おしゃべり食欲いっぱいのタイフーン襲来。

8.10 「朝日歌壇」「朝日俳壇」より。

〈目頭をそっと押さえて席を立つ井上ひさしの反戦の劇 (三鷹市)大谷トミ子〉

〈赤毛のアン函(はこ)よりだして曝書(ばくしょ)せり (京都市)山本京子〉

8.13 孫台風帰る。滞在中、天気悪く、デパート買い物のみ。それでもヂヂババは楽しくいそがしく過ごさせてもらった。

 

 宇野邦一 『ハーンと八雲』 角川春樹事務所ハルキ文庫 940円+税



 著者は1948年松江市生まれ、フランス文学者・哲学者、立教大学名誉教授。

 明治の日本に来日したラフカディオ・ハーンは帰化して小泉八雲となった。彼が集め、改作した怪談・奇談は今も読み続けられている。また、『日本瞥見記』などによって日本と日本人の姿を的確に描写した。

 これまでのハーン研究は一部をのぞき多くが伝記的事実・作品研究に向けられている。本書は、ハーンのアメリカジャーナリスト時代からの文学研究、仏領西インドでのクレオール研究をふまえ、日本論の揺らぎ――初期の理想化された美学・道徳、繊細なエキゾティズムから歴史的な展望を深め考察(帝国主義・軍国主義への傾斜を憂慮)――を再考する。さらに、東京帝国大学での世界文学講義に注目して、彼の文学論、思想を読み取る。ハーンは世界を論じ、巨大な宇宙と微細な次元との間で物事を捉え、国や人種を超えて思考した。

〈アメリカでもマルティニック島でも日本でも、ハーンはつねに「小さきもの」を注視してきた。つましい生活の細部、場末の音楽、クレオール料理、町の物音、墓碑銘、虫の鳴き声、玩具、女性の髪型……。そのリストは限りなく続く。ハーンのこういうマイナーな志向は、かなり徹底したものだった。ハーンが偉大な文学者であったかどうか、私にとって、それはあまり重要なことではない。この本を書きながら確かに見えてきたことは、そんなふうに小さなものにむかうハーンの知覚が、人間も生物も、あくまで連続したひとつの生命の輪(わ)のなかで捉える巨大な世界のイメージとともにあったことである。(後略)〉

 2009年同社より単行本、文庫化にあたり一部改稿、「補論」追加。

(平野)

2025年8月5日火曜日

フォルモサ南方奇譚

8.4 出版社PR誌。「波」【特集 戦後八十年と「火垂るの墓」】。野坂昭如と高畑勲の対談(「アニメージュ」19876月号)を再録し、世代の異なる作家4名が「火垂るの墓」を語る。

「図書」〈戦後八〇年〉。美輪明宏の巻頭言「ナガサキを憶(おも)う」他、公害問題、受験、テレビドラマ、雑誌、家庭料理、葬儀など市井の暮らしや風俗・文化をに焦点を当てる。



BIG ISSUE507号〈デジタル民主主義〉、508号〈ベーシックインカムの導入を考える〉



8.5 早朝、地域の資源回収と燃えるゴミ出して、墓参り。墓園は風あり、猛暑というほどでもない。下界のほうが暑い。テレビニュースでは40度越えのところがあちこちに。皆様くれぐれも熱中症にはご注意を。

 

 倉本智明 『フォルモサ南方奇譚』 春秋社 2500円+税



 著者は1983年香川県生まれ、台湾在住、高雄の文藻外語大学准教授。台湾現代文学研究、翻訳家。

 台湾は中華世界の疆域として扱われてきた。大陸の支配者が交代すればそれに翻弄される。広い大陸あちことから漢民族が渡来し、先住民である少数民族が数多存在する。特に台湾南部に多様な民族文化が育まれてきた。時に西洋列強国や大日本帝国が支配・侵略してきた。

 著者は研究の合間にバイクを駆って南台湾を巡る。日常生活の下に埋もれた民族の歴史=伝説・奇譚を掘り起こす。

〈ただし、僕が本書で語りたいのは台湾大の新たな大文字の歴史ではなく、ぼく自身がこの島で生きるために必要だと感じた「いま」の欠片たちである。それは天朝体制下における義民に逆賊、文明人を辞任する西洋人の山師に「野蛮」な原住民の頭目、日本の人類学者に英国の博物学者、異神としての牛頭天王に瘟(おん)神としての王爺、そして帝国日本の支配に抵抗した「土匪」や共産主義者など、歴史と奇譚の間にはまり込んでしまった様々な「いま」である。〉

 迷信、習俗、伝説と歴史が混交する。野蛮な殺戮に対する慰霊がある。数百年前の話もあれば、昭和の加害もある。

 出版社カマさんからいただいた本。感謝。

(平野)

2025年8月3日日曜日

『神戸元町ジャーナル』 その10

7.26 花森駐在。思想研究ムラ先生、映画サークル代表シオさん、製本カクさん、古書波止場さん、カフェさん、海文堂時代からお世話になっている皆さん来店。差し入れいただき、おしゃべりして、写真撮って、ワイワイ。

7.27 「朝日俳壇」より。

〈短夜にいくつも読めてO・ヘンリー (甲府市)村田一広〉

 花森にて。現店主、前店主の人柄と人脈でいろいろな方にお会いできる。本好き・古本好き、多種多様なアーティスト、飲食業の人、謎の人……。ヂヂイの交際範囲は狭い、せんま~い。

7.28 花森書林でのイベント、無事終了した模様。猛暑の中、来店してくださった皆様、ありがとうございます。花森店主、関係者皆様にもお礼申し上げます。

7.31 みずのわ社主から「神戸新聞」8.2書評欄に紹介記事掲載の連絡あり。関係者にメール。ジュンク堂書店二店に行ってお知らせ。センター街のお店レジにちょうど旧知のタガさんがいて挨拶。本日で定年退職と伺う。長い間お疲れ様でした。

花森書林に展示した海文堂資料引き取り。ちょうど店主に福岡アリスから電話入り、アリス資料を預かる。その時いらしたお客さん、ヂヂイの記憶に間違いなければ小学校の同級生。名前も覚えているが、声はかけなかった。60年前のこと言われても多分迷惑でしょう。

 別の小・中学校同級生が大分から拙著の感想とお菓子送ってくださる。感謝。

8.2 「神戸新聞」読書欄で『神戸元町ジャーナル』紹介いただく。評者は報道部・田中真治氏。「土地の記憶、鮮烈な光と影」の見出し。元町の華やかな記憶=「光」と破局に至る大日本帝国の歴史=「影」。

〈光が強いほど、陰影もまた深い。〉

 編輯者作成の膨大な索引にも触れてくださっている。さらに神戸書店史と震災のことも。ヂヂイの貧しい表現をまとめてくださった。ありがとうございます。



 NR出版会事務局くららさんから「NR出版会新刊重版情報」596届く。ヂヂイに自著紹介の機会を与えてくださった。全国の書店員さんに向けてPR。たくさん送ってもらったので、本屋さんに配って歩く。



 さんちかタウンの古書市を覗く。旧知の店主さんお二人に挨拶。『聞き書き 神戸と文学』(神戸「人とまち」編集室、1979年)購入。

(平野)

2025年7月29日火曜日

神戸元町ジャーナル その9

7.21 午後花森書林出勤。書店員マスさん来店。アーティストMさんも。福岡アリス提供画像と音源再生。2013年海文堂閉店前のラジオ関西放送のインタビューがあった。「時間です! 林編集長」(2013.9.25 「神戸の海文堂書店 9月末閉店」)。これは初めて聴く。福岡店長が閉店の思いを語り、お客さんの声も紹介。ちょうど「成田一徹遺作展」を開催して、成田夫人もインタビューに応えてくださっている。同番組は20203月終了。

7.24 花森出勤。「毎日新聞」神戸・阪神版に『神戸元町ジャーナル』紹介記事。花森店主掲示してくれている。ネット版有料記事、少しだけ読める

https://mainichi.jp/articles/20250724/ddl/k28/040/132000c

 


 本日来店一人目のお客さん、お買い上げありがとうございます。

 海文堂閉店当日、店長挨拶を真横から見ておられたという方は、今日たまたま出かけて来て、たまたま毎日新聞買って、たまたま開いたページが拙著記事だったそうだ(ほんま~?)。ドイツ在住の漫画家さん、里帰りでご来店。

7.26 花森駐在。思想研究ムラ先生、映画サークル代表シオさん、製本カクさん、古書波止場さん、カフェさん、海文堂時代からお世話になっている皆さん来店。差し入れいただき、おしゃべりして、写真撮って、ワイワイ。

7.27 「朝日俳壇」より。

〈短夜にいくつも読めてO・ヘンリー (甲府市)村田一広〉

 花森にて。現店主、前店主の人柄と人脈でいろいろな方にお会いできる。本好き・古本好き、多種多様なアーティスト、飲食業の人、謎の人……。ヂヂイの交際範囲はせま~い。

7.28 花森書林でのイベント、無事終了した模様。猛暑の中、来店してくださった皆様、ありがとうございます。花森店主、関係者皆様にもお礼申し上げます。

(平野)