2024年8月28日水曜日

吉本隆明詩集

8.22 早朝、家人と二人台車押して古い家具をゴミ収集所まで運ぶ。「ゴミほかしに行かな、ワテがほかされますんや~」(桂福團治)。

 本屋さんに取り寄せ依頼。遠方の出版社で担当さんにお手間をかける。ややこしいことでごめんね。

 本屋退職後しばらく現役時代の夢を見た。たいがい苦情処理か万引き。久しぶりに見たのはブックフェアで本をどう並べるかという場面。悩んでいるけれど楽しい夢。

8.23 今日は万引き犯を捕まえる夢。怒って目が覚める。

8.24 新聞で見つけた名言。「西瓜はマチスだ!!」。

〈緑色の地肌にタテに走るまっ黒なギザギザの線。/あのギザギザは、マチスが好んで描くギザギザによく似ている。/西瓜はマチスだったのだ。〉

「朝日新聞 be on Saturday 2024.8.24」〈東海林さだお まだまだ! あれも食いたい これも食いたい〉より。

8.25 「朝日歌壇」より。

〈にはか雨ついてないやと駆け込みし本屋のなかで友と再会 (京都市)五十嵐幸助〉

8.26 台風10号、当初の予報よりゆっくり進んでいて不気味。

 

 『吉本隆明詩集』 蜂飼耳編 岩波文庫 1110円+税



 吉本隆明(19242012年)は詩人、思想家。今年は生誕100年にあたる。

思想家として戦後の労働運動、安保闘争、大学闘争など、社会、読者に大きな影響力を持った。詩集も海賊版が出るほど読まれた。

「固有時との対話  

メカニカルに組成されたわたしの感覚には湿気を嫌ふ冬の風のしたが適してゐた そしてわたしの無償な時間の劇は物象の微かな役割に荷はれながらたしかに歩みはじめるのである………と信じられた   〈1950.12〉」

詩のなかに批評が導入され、評論集に詩が収められる。

〈ぼくはいつも批評家を自らの胎内にもつた詩人を尊重してきたのだ。〉「少数の読者のための註」(『固有時との対話』所収)

(平野)

2024年8月22日木曜日

戦争ミュージアム

8.18 「朝日新聞」〈まなび場 天声人語〉で1986818日付「天声人語」掲載。当時川柳人口が増え、新聞・雑誌他さまざまな誌紙にも読者投句欄が設けられる。が、川柳を駄じゃれ、ごろ合わせ、ことば遊びと考える人が多い。時事川柳については、怒りにまかせて作るだけ、スローガン的作品、という批判も。そこで執筆者は鶴彬(つる・あきら)という川柳作家を紹介する。「手と足をもいだ丸太にしてかへし」など反戦の句で知られる。執筆者は「戦争の非情さへの命がけの抵抗」と評する。昭和12年、鶴は治安維持法違反で逮捕され、翌年留置場で病死、29歳だった。鶴にはこんな句もある。「タマ除(よ)けを産めよ殖やせよ勲章をやらう」。鶴の警句どおり、この国の指導者は人の命を虫けらのように扱った。

8.19 久々の雨。西は日照り、東は雨続き、お米の不作が心配。スーパーでも在庫少ない様子。天候の影響はあるが、根本はこの国の農政。

8.21 仕事夏休み。孫電話、相変わらずのハイテンション。小鬼たち夏バテなし。

 

 梯久美子 『戦争ミュージアム――記憶の回路をつなぐ』 

岩波新書 920円+税



 戦争をテーマに執筆するノンフィクション作家。本書は雑誌「通販生活」連載(20202024年)「シリーズ 戦争を忘れない」をまとめる。

〈戦争にかかわる取材を始めてからおよそ二〇年がたち、直接お会いして話を聴くことのできる体験者が減っていく中、私は「もの」を通して歴史のディティールにふれることができるのではないかと思うようになっていった。時間が積み重なった「もの」たちの美しさに魅(ひ)かれたこともあり、あらためて「戦争を伝える、平和のための資料館や美術館」=「戦争ミュージアム」に足を運んでみることにした。〉

 ランドセル、お守り、白樺の樹皮に書いた日記、実物大の爆弾模型、数々の記録……、「もの」・資料が悲惨な歴史を証言する。各館の学芸員やスタッフたちが調査・研究・整理して、わかりやすく展示。彼らの学識と熱意が現在と過去をつないでくれる。

「大久野島毒ガス資料館」「予科練平和記念館」「戦没画学生慰霊美術館 無言館」「周南市回天記念館」「対馬丸記念館」「象山地下壕(松代大本営地下壕)」「東京大空襲・戦災資料センター」「八重山平和祈念館」「原爆の図丸木美術館」「長崎原爆資料館」「稚内市樺太記念館」「満蒙開拓平和記念館」「舞鶴引揚記念館」「都立第五福竜丸展示館」。

(平野)

2024年8月17日土曜日

神戸文芸文化の航路

 8.11 ブログをさぼっていいる。宮崎地震あり、パリオリンピックの悲喜交々あり。

家では孫一家帰省してドンチャカ。姉は落ち着いてきたけど、時々爆発。妹は悪ガキぶりに拍車。孫中心生活は楽しいけれど、ヂヂババ体力もたない。

 ヂヂは空いた時間に図書館。

「朝日歌壇」より。

〈居場所なき人の居場所の図書館に淡きひかりがさしこんでゐる (西条市)村上敏之〉

〈廃校となりし礼文(れぶん)のまなびやに金次郎一人本を読みおり (つくば市)山瀬佳代子〉

「朝日俳壇」より。

〈パリ五輪サルトル再読する真夏 (横浜市)飯島幹也〉

8.14 原稿ミス多発でみずのわ一徳からメール。怒声が響く。

首相退陣ニュース。

8.15 敗戦から79年。

島根の牧師さんから帰省予告あり、緊急集合の指令。関係者に連絡。

台風接近、東日本は交通混乱。

 

 大橋毅彦 『神戸文芸文化の航路――画と文から辿る港街のひろがり――』 琥珀書房 2800円+税



 関西学院大学文学部教授の論文集、「神戸の足下を掘り下げて鉱脈を発見する、神戸という窓が何に向けて開かれていくかを眺望する、神戸に集い、神戸で育つ諸芸術にはどんな相互浸透の動きがあったかを見定める」9編。

 竹中郁ら関学関係者の活動や同人雑誌隆盛。その影とも言える詩人たちの存在。鯉川筋の「画廊」。海港都市から広がり、繋がり、交わる芸術活動。異なるジャンルの芸術家たちの協同作業など。

(平野)

2024年8月4日日曜日

大石誠之助の生涯

7.27 みずのわ一徳と打ち合わせ、原稿にミスいっぱいで総点検。

7.28 「朝日俳壇」より。

〈これからも読まぬ全集曝書(ばくしょ)せり (東京都世田谷区)百瀬俊夫〉

〈遺句集の栞(しおり)を若葉風とする (さいたま市)岡村行雄〉

7.29 パリオリンピック、競技白熱。柔道詩ちゃん敗北、号泣。きっと批判する意見が出るだろう。

7.30 しばらく本紹介できそうもない。通勤電車、休憩時間読んでいる本は

ジョセフ・クローニン著 中尾ハジメ訳 『大石誠之助の生涯 紀州の医師と大逆事件』(編集グループSURE

 買った本、

大橋毅彦『神戸文芸文化の航路――画と文から辿る港街のひろがり――』(琥珀書房)



8.1 すっかり忘れていた「ひょうご部落解放」本紹介原稿送信。

8.3 小型台風=孫二人来神。

 

(平野)