■ 髙田郁 『あきない世傳 金と銀 二 早瀬篇』 ハルキ文庫 580円+税
主人公・幸は摂津国津門村(つとむら、西宮市)の学者の娘だが、兄と父が相次いで亡くなり、9歳で大坂天満の呉服商「五鈴屋」に女衆(おなごし)として奉公する。女衆は店に出ず、奥の用を勤めるが、幸は商いに興味を持つ。番頭・治兵衛も幸の才能を認める。五鈴屋は二代目の妻・富久がお家さんで、その子三代目が若くして亡くなり、現当主四代目は孫。これが放蕩者、商売は治兵衛や弟まかせで廓通い、大店から迎えた妻と離縁。五鈴屋は危機状態にある。
14歳になった幸がそんな四代目の後添いに指名される。治兵衛とお家さんに五鈴屋の将来を託され、業界仲間の承認も得てのこと。封建時代とはいえ、そんな話はひどいじゃないの!
でもね、治兵衛は幸の才能を開かせるために、年老い、さらに病の身となった治兵衛自身の商いへの情熱を継いでもらうために、この策を進める。治兵衛は引退。
「商家の女衆は、どれほど聡かろうと、ひととして優れていようと、女衆で居る限り、一生、鍋の底を磨いて生きるしかない。良し悪しの問題やのうて、それは覆すことの出来ん定めだす。幸はそれで終わる器とは違う。女衆で終わったらあかんのや」
「物がさっぱり売れん、難儀な時代だす。生きるか死ぬか、商人たちが刀の代わりに算盤を交える戦国時代だすのや。無策では生き残ることは出来ん。けれど、幸やったら、知恵を武器にして商いの道を切り拓いていけるやろ。お前はんは、戦国武将になれる器だすのや」
四代目の行状は改まるどころか、商品を勝手に持ち出す。ついには売上金をネコババする現場を抑えられる。ひどい経営者だが、まだ子どもの幸に手は出していなかった。
そして、またも幸の運命が変わる事件が起きる。
(平野)
前回、間違って買ったと書いた本。この巻をレジに持って行ったつもりが第1巻を買っていた。待ちに待って喜んで手に取ったのに、なんで間違う!? アホは私(ぼんという年ではない)。