■ 小山力也 『古本屋ツアー・イン・京阪神』 本の雑誌社 1800円+税
小山は1967年神奈川県生まれ。全国の古本屋を訪ね歩く。2008年からブログ「古本屋ツアー・イン・ジャパン」を開設。
著書、『古本屋ツアー・イン・ジャパン』『(同)それから』(原書房)、『古本屋ツアー・イン・首都圏沿線』『(同)神保町』(本の雑誌社)。
《京都市は山に囲まれた盆地に、千二百年の歴史を誇る古都をベースにした雅な観光地として、常に賑わっている。大阪市は広大な大阪平野に、繁華な昭和的街並を何処までも敷き詰め、その中で人間という生物がエネルギッシュに活動を続けている。神戸市は北から緑豊かな六甲山地が間近に迫る、風光明媚な港町として知られ、古めかしい異国情緒と先鋭的な街並を、美しくミルフィーユのように狭く細長い土地に融合させている。》
三都市に加え、滋賀、奈良、阪神間を訪問。京都善行堂主人との対談、同行ツアーもある。
神戸は、神戸学生青年センター古本市(毎年3月~5月、寄付された古本を販売して奨学金に)、口笛文庫、あかつき書房、やまだ書店、トンカ書店、うみねこ堂書林、1003、ワールドエンズ・ガーデンなど29店舗。取材期間(小山は「彷徨」と書く)は6ヵ月、200店舗以上を巡った。その間、名物店主の死去があり、取材店の移転あり。
《それにしても、京阪神は面白い。東京の神保町や中央線沿線は特殊な事例としても、それぞれの都市が、豊穣な古本屋シティであることを、充分に思い知らされた。またそれぞれを電車でつなげば、さらにその豊穣さは、深く薫り高くなるのが、大変に魅力的である。》
一店あたりの取材時間は限られるだろうが、店の特徴だけではなく、店主の人柄も伝える。
「全力のユーモラスな接客」とか、「ハンチングを被った浅利陽介風」とか、「大人になってメガネをかけたちびまる子ちゃんのような」とか。(平野)
ヨソサマのイベント
■ ザックバランな古本のみの市 トンカ書店 11.17~28(火・水定休日)
7店舗参加 古本+雑貨や珍品