2018年1月25日木曜日

落としもの


 横田創 『落としもの』 書肆汽水域 1800円+税

 1970年埼玉県生まれ、演劇脚本家、作家。単行本未収録短篇6篇収録。若い女性の独り語り、演劇人ということは一人芝居?


 表題作は、落ちている物、踏切内のバッグでも電車内のティッシュでも、気になって拾いたくてしようがない女性。道に迷っているらしい外国人に声をかけたいと悩み、女の子を怪しい商法に勧誘している男に抗議して二人に気味悪がられ、職務質問のおまわりさんに逆に説教してしまい、コンビニで迷子だと思って子どもに話しかけその親とひと騒動起こし……、空気読めないというかコミュニケーションできないお騒がせ女。妹の飼い猫とは通じ合うらしい。早朝、猫が家を出て行くので後をついて行く。裏道や狭い通路を通り、塀を乗り越え、たどり着いた場所は廃止された神社の森、不法投棄、粗大ゴミの捨て場所。猫が何かを食べている。肉らしい、何の、誰の肉?

一人出版社、第2冊目。主宰者は書店員でもある。
〈本屋として、書店員として、「自分が売りたい本を自らの手でつくる」取り組みの記念すべき1回目の本〉


(平野)
出版社から献本をいただきました。冊子付き。ありがとうございます。神戸ではまだ1軒しか扱っていないようです(1.24現在)。読者の皆さん、本屋の皆さん、どうぞよろしくお願いします。
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