2018年7月10日火曜日

本屋な日々 青春篇


 石橋毅史 『本屋な日々 青春篇』 トランスビュー 
1800円+税

 これまでの著書、『「本屋」は死なない』(新潮社、2011年)、『口笛を吹きながら本を売る』(晶文社、2015年)、『まっ直に本を売る』(苦楽堂、2016年)。

『「本屋」は死なない』に登場した書店員(独立して開業)の言葉、「情熱を捨てられずに始める小さな本屋。/それが全国に千店できたら、世の中は変わる」を本書でも引く。

〈たしかに変わったと思える世の中を、いつか見てみたいと思った。/では、そのために何をしよう? 物書きをやるのだから、書くしかない。熱意を込めて、千編の本屋の物語を書けばいいじゃないか。あるとき、そう考えた。〉

若い世代の書店員についての文章を再開。発表方法に迷っていたところ、2013年に出版社トランスビューが書店用DMに毎月付録として同封する。単行本化第1弾。

石橋は全国を回って奮闘している書店員に取材する。本書には16の話を収録。本に親しんだ経験なく32歳で書店員になった人、勤めていた老舗書店が倒産し自分で開業した人、石橋自宅最寄りの小さな書店店長、大書店に期間限定のフェアを任された女子古本屋店主、トークイベントで自分の所属する本屋を愛していると堂々と言う人、書店業界大物とのトラブル、沖縄の市場の古本店主、「傷だらけの店長」の今……、既に書店員を辞めた人もいるし、故人もいる。

……僕が書いたのは、それぞれの本屋の、ある瞬間に過ぎない。/どれもが貴重な瞬間だったと、あらためて思う。情熱ある本屋の日常が各地で積み重ねられていること、つまり世の中が変わる過程を、僕は目撃できている。〉

(平野)神戸の古本屋さんでも著者のことをよく耳にする。突然現れるらしい。
 7.10「朝日新聞」鷲田清一《折々のことば 1163〉は『幸福書房の四十年 ピカピカの本屋でなくちゃ!』(左右社)から。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13577585.html?ref=nmail_20180710mo