■ 坂口安吾 『天皇陛下にささぐる言葉』 景文館書店
200円+税
1946年の「堕落論」他、48年52年に発表した天皇論、平和論4篇収録。
戦後昭和天皇が全国を巡幸。ある雑誌が市民の熱狂・歓迎ぶりを「天皇は箒である」と諷刺した。不敬という批判が起きたが、安吾は雑誌の味方をした。〈天皇が人間の礼節の限度で敬愛されるようにならなければ、日本には文化も、礼節も、正しい人情も行われはせぬ。いつまでも、旧態依然たる敗北以前の日本であって、いずれは又、バカな戦争でもオッパジメテ、又、負ける。性こりもなく、同じようなことを繰り返すにきまっている。/本当に礼節ある人間は戦争などやりたがる筈はない。人を敬うに、地にぬかずくような気違いであるから、まかり間違うと、腕ずくでアバレルほかにウサバラシができない。地にぬかずく、というようなことが、つまりは、戦争の性格で、人間が右手をあげたり、国民儀礼みたいな狐憑きをやりだしたら、ナチスでも日本でも、もう戦争は近づいたと思えば間違いない。〉
(平野)復刊ドットコム糸さん情報で知る。値段間違っていません。32ページのブックレット。