2019年5月14日火曜日

雑誌渉猟日録

 栗もっと仕入れてもろうた

 5.1112 子どもたちと孫に会うため夫婦でお江戸。行きの電車内、名古屋を過ぎたところで、高橋輝次『雑誌渉猟日録』を読み終わる。久々富士山見える。

上野東京都美術館『クリムト展 ウィーンと日本1900』。金ピカの女性像の印象が強いが、生と死も重要なテーマ。壁画「ベートーヴェン・フリーズ」(原寸大複製)は迫力あり。

日本橋で家族6人待ち合わせしてランチ、孫と手つなぎ散歩。娘一家とはここでお別れ、息子と東京ドーム、スワローズ・ジャイアンツ戦。主力故障のなか、石川踏ん張り、若手頑張り、燕勝利。彼は小学生の時、スワローズが負けるとふくれっ面だった。

翌日は新国立美術館「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」。絵画、建築、デザイン、それに都市計画も。今年は日本・オーストリア外交樹立150年、クリムト没後150年だそう。

新橋に出て、パナソニック汐留美術館「ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち」、こちらはフランス世紀末。展覧会にしては珍しく男性客多数。サロメの官能美に惹かれてか。そう、私も。

 
 高橋輝次 『雑誌渉猟日録 関西ふるほん探検』 皓星社 2000円+税



 古本愛好者、編・著書多数。今回は書名のとおり関西の雑誌(同人誌、展覧会図録など)から埋もれた在野の人たち・作品を探し出す。大阪の文芸同人誌『茉莉花』、神戸の詩同人誌『航海表』、書物雑誌『書彩』などなど、さらに母校校内誌も。
 自らの足と勘で本の森を探検、まさに「本が本を呼ぶ」(装幀・林哲夫の帯のことば)のだが、書友・古書店主の存在が大きい。彼らは情報交換だけではなく、資料提供・贈呈、原稿整理、ネット検索までしてくれる。年齢層も幅広い。これも高橋の人柄。過去の目録を繰り、文学館・図書館に問い合わせ、同人に連絡し、古書店巡りの日々。

高橋の文章は、原稿を書き終えたあとに新資料が見つかったり、蔵書の存在を思い出したり、書く事がどんどん増えてくる。特に「渡仏日本人画家と前衛写真家たちの図録を読む」の章は本文10ページなのに、追記16、補遺14、「図録蒐集のすすめ」をはさんで、番外篇14、註、そのうえ付記で63ページ。追加ができることを喜んでいる。「以上の追記で完全に打ち止めにするはず~」「もはや、くどいと思われそうだが~」「舌の根もかわかぬうちから~」「もう一つおまけ」「さらにもう一件~」「厚かましくあと一つだけ~」「その後、どうしても読者に伝えたい、重要な文献を入手~」「いくらなんでも、これで最後にしたい~」「つくづく往生際のわるい私ですが~」「最後の最後に~」、まだまだ続く。
本探し、原稿書きが楽しくて仕方がない様子。

(平野)