2019年7月1日月曜日

ふるほんのほこり

 週3日勤務日の休憩時間は私の貴重な読書時間。弁当を食べ終えそのまま部屋で。たまに徒歩数分の須磨寺公園に出かける。大きな池があり、四阿に鳩が10羽近く先客、私が入っても逃げない。名前のとおり須磨寺の敷地。
 1926(大正15)年、山本周五郎が「須磨寺附近」を発表して文壇に登場。親友の姉をモデルにした恋愛小説だ。周五郎は関東大震災で被災し、神戸に来たが、神戸生活は約5ヵ月だった。

須磨寺境内には周五郎文学碑他、縁の古今文人の碑、源平合戦の遺蹟がたくさんある。須磨寺のWEBサイトをご覧ください。http://www.sumadera.or.jp/

須磨寺公園は花の名所で、かつては池にボートを浮かべ、動物園や人形館のある遊園地だった。水鳥や小動物だけではなく、狸に狐、豹もいた。その豹が脱走したことがあり、周五郎はそれも題材にしている。遊園地は兵庫電軌鉄道(現在の山陽電鉄)の経営、大正時代は繁盛したが、昭和の初めには衰退した。

 梅雨に入り、私の戸外読書は叶わない。それにすぐ夏、猛暑は必至だろう。本を読めない言い訳を先にしておく。写真は池から須磨寺を望む。

 


 林哲夫 『ふるほんのほこり』 書肆よろず屋 頒価1000
 
 

 画家、書物愛好家・林哲夫の古本エッセイ。限定500部、「天井扇ページをゆらす書店あり」とサイン。京都の古書善行堂で購入できる。
 2009年から2年間、筑摩書房PR誌『ちくま』に連載をまとめ、「ふるほんは宝物だ」を加える。連載では表紙絵を飾り、表2にエッセイだった


〈古本は足で探す。これが基本。基本中の基本である。/探すというのは何か決まった探求書があっての場合ばかりではない。自分は何を探しているのだろう? それが分からないから探すということもある。いや、これこそ古本探しのいちばんの面白さではないだろうか。(後略)〉
 
靴を減らして古本屋・即売会を廻る。無駄足も遠回りも、古本者は「それが楽しい」。私はまだその境地には達していない。
 
 8年以上前の原稿だから、閉店してしまったり移転した古本屋さんがある。店主には故人もいらっしゃる。

(平野)私は連載当時の『ちくま』24冊を持っている。揃っていることが自分でも信じられない。