■ がしんたれ
花森書林で買った梅田コマ劇場のパンフレット、「がしんたれ 菊田一夫作・演出 梅田コマ8月公演」(昭和36年、1961年)。表紙の写真は、八千草薫と久保明。
劇作家・菊田一夫の自伝小説『がしんたれ』(初出「週刊朝日」1955~56年)を舞台化。前年に東京有楽町芸術座で初公演。
和吉=菊田は不幸な生い立ち。あちこち養子に出され、台湾で育つ。養母が付き合っていた男に騙され、大阪の薬種問屋に奉公させられる。この男は薬屋から契約金を受け取ったのに、借金のカタに和吉を別の男にも売っていた。和吉自身も薬屋でトラブルを起こしてクビになり、神戸元町の美術商に移る。菊田の元町時代は別のところに書いたので、時間のある方は下記をご覧ください。Web「元町マガジン」内「みなと元町タウンニュース(No.320~322)」の「海という名の本屋が消えた(65~67)」。
https://www.kobe-motomachi.or.jp/motomachi-magazine/townnews/
演劇では、和吉の少年時代を中山千夏、青年時代を久保明が演じた。和吉が詩人を志し上京、世話になるテキ屋の親方(三遊亭圓生)の娘役が八千草薫。
パンフレットに詩人仲間・小野十三郎、師匠のサトウ・ハチローが寄稿している。小野の処女詩集『半分開いた窓』(自費出版、大正15年11月[1926年])の奥付には印刷者に菊田の名があるそうだ。菊田は印刷所の文選見習工だった。
〈……おもえば、もう三十五年も昔の話でありますが、私たちは、この時代のことを「南天堂時代」と呼んでいます。(後略)〉(小野)
林芙美子も詩人仲間。菊田の失恋(元町時代の初恋女性結婚)を慰め、励ました。東京初演時、林役は森光子、出番は少ない。後年、森は林原作、菊田演出「放浪記」の主役に抜擢され、生涯演じ続けた。
(平野)8.20 元町映画館、「作兵衛さんと日本を掘る」(熊谷博子監督、オフィス熊谷)。筑豊の炭坑労働者・山本作兵衛(1982~1984年)が遺した絵と日記から日本近代化を支えた石炭労働者の姿を追う。
帰宅したらゴロウさんから電話、来週西宮の本屋さん『ほんまに』取材、同行。三宮ブックス・村田社長からはギャラリー島田「須賀敦子」イベントの書籍販売打ち合わせ電話。詩人さんから新刊本届く(後日紹介)。NR出版会くららさんから久々にメール、即返事。