2020年6月27日土曜日

古本屋の四季


 片岡喜彦『古本屋の四季』 皓星社 1800円+税

 神戸市兵庫区神田町の古書店店主。著書に『本のある風景』、写文集『労働者人生』(共に「足跡」編集部)など。定年退職後、開業して丸10年。労働問題、思想、郷土史など硬派の品揃え。

1986年、海文堂書店の福岡さんらと書評同人誌「足跡」(季刊)を創刊して、現在も継続。開業後、その「足跡」にエッセイ「古本屋の四季」を連載。「番台から眺めてきた、本と人の風景」を綴る。
 店主のモットーは「本好きの 人・本・心 つなぐ店」。店の売り上げや経営状態を隠さず披露。赤字で、来店者ゼロの日もある。飄々と、本との出会い、人との交わり、本と人のつながりを楽しんでいる。

〈わたしは道楽で古本屋を始めたという思いがありますので、10年ほど古本屋として楽しめれば、わが人生の締め括りができると思っています。(略)〉

 蔵書処分の相談を受け、ペットの心配をして、転居先も探してあげて、そこが広い家で、結局蔵書を持って引っ越せることになった話。ちょっと苦笑い。遠方から福原の風俗店に来た男性は、いつものお相手が休みで仕方なく「片岡」で暇つぶし、意外に硬い本を買ってくれる話。これは大笑い。でもね、近所の鍵っ子を預かって娘さんと口論になった話は、世知辛い。古本屋志望者の相談に乗ったり、本引き取り、廃棄など、愛書と商いの現実も語る。

 

6.25 みずのわ出版新刊、季村敏夫編『カツベン 詩村映二詩文』届く。季村さんからも献本をいただく。ありがとうございます。紹介後日。


(平野)