2020年10月13日火曜日

ぼくは幽霊作家です

  10.12 仕事は会社貸与の携帯電話で勤務時間の管理をする。打刻時間にアラームが鳴るようセットしているのに、鳴らない。

 なんで~か?(堺すすむ師匠) 

 それはね(同前)。主任さんに問合わせたら調べてくださった。アラームは「祝日除外」で設定していて、本来なら「10.12」は体育の日の祝日だが、東京オリンピックの祝日移動が反映されていない、ということらしい。

そうなんや~(同前)。

 今回も出版社からいただいた本。

 キム・ヨンス著 橋本智保(ちほ)訳 『ぼくは幽霊作家です』 新泉社 

2200円+税



 韓国現代作家の作品集。9作品すべて一人称で語る。ロンドンで暮らす韓国人姉妹と日本人留学生、ヒマラヤを目指す作家、人探しを依頼され朝鮮に渡るアメリカ人探偵、朝鮮戦争に参加した中国志願兵、弟の見合いに付き添う兄、古典文学を題材にしたもの、戦争後の政治的混乱など、時代は異なるが、朝鮮半島、アジアの歴史が底流にある。

 表題の作品はない。著者のことば、

〈この本の中で「私」はあまりに多くの嘘を並べすぎた。「私」は天国に行くのは無理かもしれない。この本のタイトルどおり、「私」は幽霊作家になってしまった。(後略)〉

訳者、

……幽霊作家とはゴーストライター(代筆作家)という意味で、影となって小説という虚構の時空間を動かす存在だ。キム・ヨンスはどの短編でも、いろいろな叙述スタイルを試みている。例えば、書簡体、告白体、植民地時代のインテリの口調を匂わせるもの、古典小説のパロディ、いかにも翻訳調で語るものなどがある。これらは近代以来、韓国の小説が模索し続けてきたものでもあるのだが、キム・ヨンスは自身の作品の中でそれらを独創的に試みたのではないかと思われる。(中略)……キム・ヨンスは本作において、歴史の主人公になれなかった人たちのことを、彼らがどう生きたのかについて話しているのだ。(後略)〉

(平野)