2021年10月13日水曜日

愛の静脈

 10.9 図書館で若杉慧の小説について相談。よその図書館の蔵書などを調べてもらったが、検索に限界あり。お時間取って恐縮。司書さんと古本愛好家・タカさんの話。

 午後花森書林、「川上澄生」展の図録。

「川上澄生――その全貌展――」(主宰栃木県立美術館・朝日新聞社、昭和4944日~9日、大阪梅田阪神百貨店)1895年~1972年、横浜市生まれ。英語教師、詩人、版画家。南蛮風の版画はよく知られる。

詩人としては、元町原稿関連で調べていてわかったことがある。1923(大正12)年、北原白秋主宰「詩と音楽」で竹中郁らと共に「新進十一人集」に推薦されている。

 


 花森店主に竹中出版記念会記事発見をお知らせ、ちょこっと自慢。上記・タカさん棚出現、蔵書販売中、ここでもタカさんの話。

 

 図書館の皆さんに面倒かけるのも気が引ける。Web「日本の古本屋」で若杉関連を検索すると、探求本2冊が出ていた。初めて注文。

 

 10.10 落語家・柳家小三治逝去のニュース。私、生で拝聴したのは1回だけ。同世代の人たちと比べて、力みがないというか飄々とした人柄。昔、雑誌でバイクやオーディオなど趣味の紹介記事がたびたびあった。覚えているのは、高座にCDと再生器械を持ち込んで、わざとCDに傷をつけて無傷のものと音質テストをしたこと。そういうことも「まくら」にした。ご冥福を。

 

 注文の古書1冊到着。

 

 若杉慧 『愛の静脈』 講談社 1955 (54年「婦人倶楽部」連載)

 装幀、御正伸(みしょう しん 191481年)、洋画家。本の装幀・挿絵多数。


 







 広島の女学校勤務時代に若杉は同僚女性との恋愛問題で辞職。1927(昭和2)年、彼女の出身地・神戸に来て、神戸小学校の教員になった。結婚し男児が生まれたが、29(昭和4)年妻病死。妻の一生を必ず小説にすると、決意する。

ペンネーム「若杉慧」を使うのは41(昭和16)年神戸小学校退職後。それまでは「駒四郎」「庭與吉」。芥川賞候補になるが、作家として名を知られるのは戦後のこと。47(昭和22)年青春小説「エデンの海」がヒットし、流行作家になる。

 本書は、亡妻との恋愛事件をモデルに、時代を戦後にする他、設定を変えている。妻の死後、教え子を語り手にして、苦しい恋を回想。

 

(平野)