10.13 有給休暇取得。図書館、「若杉慧」調べ。小説4冊借りる。戦前の本もあり、いずれも貸し出し不可でも文句は言えない貴重本。単行本3冊は若杉がある詩人に献呈したもの。詩人の死後、ご遺族が寄贈。
注文していた古書到着。若杉の芥川賞候補作「淡墨」掲載の雑誌。
10.15 朝日新聞に製本工芸家・栃折久美子訃報。本を持っているけれど、すぐに取り出せない。ご冥福を。
古書愛好家タカさんからハガキあり。電話すると、大阪天神さんの古書市探索中の由。
10.18 通勤電車内、降車駅が近づき、PR誌をカバンにしまいながら向かいの座席を見ると、男性が文庫本を読んでおられた。カバーなしだったので、髙田郁の『あきない世傅 金と銀十一』(ハルキ文庫)とわかった。頭の中で、拍手パチパチ。
作家・山本文緒が今月13日に亡くなっていた。海文堂の福岡店長がずっと応援していた。
■ 若杉慧 『微塵世界』 モダン日本社 1942(昭和17)年
図書館本。
本作は第15回芥川賞予選候補。
大正初め、舞台は広島県の山村。寺の跡取り・一乗、下女の子・信楽(しんぎょう)、医者の娘・笑美子、医者が引き取った孤児・伊太ら、少年少女の小学校生活、中学受験、将来の進路。スクール・カーストや受験競争は昔から存在した。
子どもたちに夢や希望があり、まだこれから探す子もいる。それぞれ適性があるし、気持ちが大事。勉強には体力も必要。個々に合った道がある。大人の思い通りにはいかない。
書名は浄土和讃「十方微塵世界の 念仏の衆生をみそなはし~」から。阿弥陀如来はすべての人を見ているよ。
他に、「文具店『桃太郎屋』」(多分神戸小学校近辺。文房具店オババの商売奮闘をユーモラスに)、「ある成長」(山村の子沢山生活)、「志賀直哉氏訪問記」(結婚を両家の親からは認められない。いきなり文豪を訪ねて苦悩告白)収録。
装幀、荒井龍男。1904~55年、大分県出身、洋画家。
(平野)