2017年1月28日土曜日

美は乱調にあり


 瀬戸内寂聴 『美は乱調にあり 伊藤野枝と大杉栄』 岩波現代文庫 980円+税

〈疾走する生。ほとばしる恋。〉(帯のことば)

 初出『文藝春秋』(1965年連載)、66年文藝春秋より単行本、69年角川文庫。2010年角川学芸出版単行本復刊。文庫版は長く品切れだった。  

《ダダイスト辻潤とアナーキスト大杉栄という怪物二人と結婚し、二人の間に子供を七人も産み、関東大震災のどさくさまぎれに、大杉と甥の六歳の橘宗一と共に憲兵隊に連行され、甘粕大尉に虐殺された伊藤野枝の二十八歳の生涯を描いた。》

 野枝、神近市子、平塚らいてう、恋と社会運動に生きた女性たち。
 野枝が「青鞜」に参加するのは191212月号から。既に市子は常連執筆者、翌年新年号には大杉の妻・堀保子が寄稿。後に大杉をめぐって絡む女たちが同時期「青鞜」に関わっていた。
 寂聴さんが「晴美」時代の作品。

《この小説を書いて、「青春は恋と革命だ」という考えが私の内にしっかりと根を下ろした。》

 本書続編『諧調は偽りなり』も2月復刊予定。

(平野)
 昨年閉店した神戸文化人ゆかりのバーの壁が保存・公開。
https://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/201701/0009860438.shtml

 神戸在住作家主宰のカレー会(毎週木曜日)、美淑女たちの集まり。パートナー・ゴローちゃん(誤解しないでね)と参加。3月に予定しているブックイベントでの講演会依頼。
 90歳の作家曰く、「加齢会と言われるけど、華麗会や!」。

「木曜日のカレー」短歌があった。1.23「朝日歌壇」より。
《木曜の夜はカレーと決まりおりこの監獄であと二〇〇食  ひたちなか市 十亀弘史》
 作者は新左翼の運動家、昨年刑が確定して収監されている。