■ ヤマザキマリ とり・みき
『プリニウス Ⅴ』 新潮社 680円+税
古代ローマの博物学者評伝。プリニウス一行はネロ暴政下のローマを脱出。東方放浪者の冒険譚に刺激され、また旅に出る。
《書物の情報や想像だけでは本当の事はわからぬ
わかったつもりになるだけだ… 動いて得られた教養こそが本物の血となり肉となる…》
大地震直後のポンペイに立ち寄り、アフリカに向けて出航。嵐に遭い火山島に漂着する。
ポンペイの権力者が横暴で独善的で女性蔑視で、あの新大統領にそっくりに描かれている。対立する女性実業家も登場。作品発表時はまだ「候補者」だった。とりは、ヤマザキが描いたから当選したのかも、と笑う。
巻末の対談より。
マリ ああ、そうか。大体、私が関与するとなにか起きるんですよね。とり ポンペイの地震のシーンを描いた直後に、僕の故郷である熊本でも地震が起きましたし。古代ローマのことを描いていたとしても、日本や世界のリアルタイムの出来事が反映されてしまう。
マリ 狙って構想を考えたり、描いているわけじゃないんですけどね。
とり 漫画を描いてノッている時というのは、往々にしてアンテナが現実の少し先のことを無意識に感知したりするもんですよ。
(平野)
ほんまにWEB(奥のおじさん)更新。