2017年2月7日火曜日

ローカルブックストアである


 大井実 
『ローカルブックストアである 福岡ブックスキューブリック』 
 晶文社 1600円+税


 大井は1961年、福岡市生まれ。イタリア・東京・大阪でファッション関係や現代美術展覧会の企画・制作の仕事の後2001年福岡で新刊本屋「ブックスキューブリック」(15坪)を開業。06年、ブックイベント「ブックオカ」を立ち上げ、地元の商店主や本好きの人たちと本を媒介にした地域づくりを実践している。

《今でこそ、本屋という地域密着の商売をやっているが、小さい頃から転校が多く様々な場所を転々としてきた。まるで流れ者のような人生だった。そのせいだろうか、30歳を過ぎる頃から、どこかローカルな都市に腰を落ち着け、その地に根ざした地道な仕事をしたいと思うようになった。》

 福岡に戻ったのは20年ぶりだったが、開業してから次々交遊関係が広がり、毎年の「ブックオカ」につながっている。地域活性化だけではなく、福岡の本屋(4050店参加)共同販売フェアや書店員交流会など、業界活性化にも努めている。
 08年にはカフェとギャラリーを併設した2店目を開店し、イベントを重ねている。そこにはパン工房もできた。昨年の日記を見ると、イベントの内容と回数に驚く。
 個人で本屋を開業するのは難しいが、それでもチャレンジしている人たちが増えている。若者たちにエールを贈り、「小商い」のための実践的知識もアドバイスする。

《本屋というのは文化的なインフラのようなものだ。町に絶対になければならないものだと思っている。そんな草の根的なインフラを維持するための重要な拠点だ。本屋は儲けていないということは結構有名なので、逆に、あこぎな商売をやっていないという「クリーン」なイメージがある。そういう意味では、本屋は文化的で信用されるいい商売である。》

(平野)ほんまにWEB連載「海文堂のお道具箱」「しろやぎくろやぎ往復書簡」更新しています。