■ 佐藤ジュンコ 『仕事場のちょっと奥までよろしいですか?』
ポプラ社 1200円+税
《日々の暮しのそばにあるものやことがつくられる、ちょっと奥のなかなか聞くことのないお話を、誠に勝手ながらみなさんを代表するような気持ちで聞いてきました。》
伝統工芸職人……こけし、花火、染物、漆塗り
クリエイター……小説、漫画、グラフィックデザイン、鳥瞰図「場」をつくる……バー、お寺、編集
ユニークなものづくり……DIY印刷加工スタジオ、印章彫刻、ステンドグラス、建築
〈鳥瞰図絵師〉は神戸の人。実物とだいぶちがうけど、イラストなので受け入れよう。
写真のてーしゃつは著者に会う時の正装用。
自らも創作する佐藤ジュンコは取材したひとたちから学ぶ。
仕事場取材のきっかけは、こけし工人の小笠原さん。
《歴史と伝統を守り、後世へ伝える役割を果たすひとは、昔から強いこだわりがあるのでは、と思っていましたが、その背筋のぴんとした柔軟さは少し意外で、憧れます。(中略) 遠くに感じていた手に、自分の手を伸ばしてみたら、思っていたよりずっと近くにあって、あたたかくて、ぎゅっと握り返してもらったような、そんな気持ちでいます。》
本に関わる「クリエイター」たち。
《書店勤めを辞めて、イラストレーターとして仕事をするようになってから、ひとと、まちと、世界とこれからどう関わっていくのか、ぼんやりと考えていました。本の扉の向こうで、本作りに関わる4人の先輩たちの仕事場におじゃましてお話をうかがったことで、ささやかな決心のようなものが芽生えたようです。》
「もの」づくりではなく、「場」つくり。
《……「場」として営む特定の空間としての「場所」ではなく、そのお仕事、もしくはそのかた自身が、誰かにとっての大切な意味を持つ「場」ののでは、と思うようになりました。その人と過ごした時間の余熱を持ち帰ることで、日々が明るく温かくなるような。》
「ユニーなものづくり」とは「ちょっと変わった」「唯一の」ものづくり。
《みなさん個人でものづくりをしているかたですが、決して一人で仕事をしているわけではありません。たくさんおつながりの中で、「ユニークなものづくり」を続けています。わたしもようやく最近になって、個人=一人ぼっち、ではないということがわかりました。》
(平野)
ほんまにWEB〈しろやぎくろやぎ〉更新。