■ 森まゆみ 『暗い時代の人々』 亜紀書房 1700円+税
装丁・矢萩多聞
森が「暗い時代」と言うのは、昭和の戦争時代。「大正デモクラシー」と言われ、民衆運動労働運動が起こり左翼運動も活発だった時代から、戦争に突っ込んでいった。
《その時、人々は何を考えていたのか、どこが引き返せない岐路だったのだろうか。》現在の政治状況に、森は「率直に怖い、という感情を持っている」。だから、あの時代に向き合い、現在を考える。
「大正から戦前・戦中にかけて、暗い谷間の時期を時代に流されず、小さな灯火を点した人々」9人の評伝。斎藤隆夫、山川菊栄、山本宣治、竹久夢二、久津見房子、斎藤雷太郎、立野正一、古在由重、西村伊作。
第一章 斎藤隆夫 リベラルな保守主義者
第二章 山川菊栄 戦時中、鶉の卵を売って節は売らず
第三章 山本宣治 人生は短く、科学は長い
第四章 竹久夢二 アメリカで恐慌を、ベルリンでナチスの台頭を見た
第五章 久津見房子 戸惑いながら懸命に生きたミス・ソシアリスト
第六章 斎藤雷太郎と立野正一 「土曜日」の人々と京都の喫茶店フランソア
第七章 古在由重 ファシズムの嵐の中を航海した「唯物論研究」
第八章 西村伊作 終生のわがまま者にしてリベルタン
(平野)ほんまにWEB「海文堂のお道具箱」更新。