2017年12月26日火曜日

五月よ 僕の少年よ さようなら


 寺山修司×宇野亜喜良 『五月よ 僕の少年よ さようなら』 編:目黒実 アリエスブックス 1700円+税
 
 

 少年少女をテーマに、寺山の詩・アフォリズムと宇野のイラストがコラボ。宇野は寺山の舞台で美術やポスターを担当した。

寺山の詩「五月の詩・序詞」に、〈夏休みよ さようなら/僕の少年よ さようなら〉の一節がある。宇野は本書巻末に、〈五月よ/ぼくの少年よ/さようなら//ぼくの寺山修司よ/さようなら〉と書く。

寺山は宇野のことを、かつて「刺青師」「変装狂」「ジル・ド・レ伯爵の末裔」「老婆」「左手の職人」「経歴詐称の船乗り」……「舞踏病の少年」「冷酷な法医学生」「花をくわえた少女」……「わたしの誇るべきひとりの友人」と表現した。

 海の詩が多くて、ついそれに目が行く。

「海の消えた日」
〈ある日、突然、世界中の海が消えてしまった。/そして、人々は誰もそのことを口にしなくなってしまった。/一体、海はどんなものだったか。/思い出そうとして書物をひらくと、どの書物からも/海という字が失くなってしまっているのだった。(後略)〉

「かなしくなったときは」
〈かなしくなったときは/海を見にゆく/古本屋のかえりも/海を見にゆく/あなたが病気なら/海を見にゆく/こころ貧しい朝も/海を見にゆく(後略)〉

アリエスブックスは福岡の出版社、絵本を中心に出版。トランスビュー扱い。

(平野)
 クリスマス・イヴに娘と赤ん坊が横浜に帰ってしまった。じいさんは《孫ロス》状態からようやく脱した。ぼやぼやしていたら年を越せない。赤ん坊の写真で年賀状作成中。