2018年4月17日火曜日

歴史のかげに美食あり


 黒岩比佐子 『歴史のかげに美食あり 日本饗宴外交史』 
講談社学術文庫 930円+税
  黒岩(19582010年)は『「食道楽」の人 村井弦斎』(岩波書店、2004年)で注目されたライター。本書は単行本『歴史のかげにグルメあり』(文藝春秋、2008年)文庫化。

 黒岩はブリア・サヴァラン『美味礼賛』を引用。

〈食事は政治の手段であり、外交には饗応がつきものだ。ブリア・サヴァランによれば、戦争か平和かでさえその最中に決まるのである。〉

 近代日本の外交交渉(接待、密談含め)のテーブルにどんな料理が並んでいたのか。その料理にはどんな意味があるのか、各国の代表はどんな駆け引きをしていたのか。黒岩は饗応のメニューから読み解いてみる。料理は文化であり、相手に対する威圧にもなる。おもてなし、懐柔、相手はそれを拒否することもある。
 ペリーは本膳料理に不満? 慶喜によるフランス料理饗宴。明治天皇ホストデビュー。鹿鳴館のダンスと美食。政商と帝国ホテル料理。大津事件と午餐会。日清戦争講和会議と河豚料理など。村井弦斎や幸徳秋水も登場。

(平野)
 PR誌『熱風(ジブリ)』(スタジオジブリ)4月号巻頭は《神田松之丞ロングインタビュー》。前半部は、4.15TOKYO FM『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』で放送。番組サイトで4.18朝まで視聴可能。後半は4.22放送予定。

「〆切」話。4.16朝日新聞文化・文芸欄の《語る 山藤章二(1)》より。
 長期入院で連載を休む。
〈半世紀以上、組織に属さずに働いてきましたが、あんなに長い間、休んだことはありません。世間から忘れられるんじゃないか。病院にいると、恋しくなったのは、締め切りのある暮らし。ホンネです。〉