2022年5月19日木曜日

大江健三郎と晩年の仕事

5.13 妹孫はワル知恵がついてきて、かまってほしいとき泣きマネする。もちろん涙なし、笑っている。姉は「なぞなぞ」(安野光雅さく・え「こどものとも」20213月号)を大声で読む。答えは三択で、ヂヂの間違いは二回まで許してくれる。当然二回間違える。ちゃんりんちゃんりん。

「みなと元町タウンニュース」Web版更新していました。

https://www.kobe-motomachi.or.jp/motomachi-magazine/townnews/

5.14 二週間ぶりの図書館。前回借りた本を消化しきれず継続してもらう。

 午後買い物。家人が孫に絵本選ぶ。

5.15 「朝日歌壇」より。

〈入口は教科書だった『こころ』から開いていった読書の扉 (中津市)瀬口美子〉

5.16 花森書林から、私家版『海という名の本屋が消えた』店内閲覧用着の知らせ。花森さん立ち寄りついでにご覧ください。

砂原浩太朗『黛家の兄弟』、山本周五郎賞受賞。おめでとうさん。

5.17 間違って銀行口座に振り込まれた大金大騒ぎ。日本では財布を落としても戻ってくる、とよく言われる。拾った人による。

「熱風 GHIBLI 5月号」(スタジオジブリ)〈渡辺京二ロングインタビュー〉91歳、日々老化するのみ、と言う。日本史、戦争、民主主義、人の一生。ネット社会に苦言も。

「人間として生まれて一番いいことは、この世が与えてくれる喜びを精一杯感受できることなんですよ」

「それともう一つは言葉。人間はしゃべる動物だから自分の言葉でしゃべらないと」

 

 工藤庸子 『大江健三郎と「晩年の仕事(レイト・ワーク)」』 講談社 

3000円+税



 1994年秋に大江健三郎はノーベル文学賞受賞。その後も長篇小説を発表し続けた。特に2000年以降の作品は自ら「晩年の仕事」と称した。本書はその6作品、『取り替え子(チェンジリング)』『憂い顔の童子』『さようなら、私の本よ!』『(らふ)たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』『水死』『晩年様式集(イン・レイトスタイル)』を中心に大江文学を読み解く。

 工藤はフランス文学者、東京大学名誉教授。大江作品は、セルバンテス、ジョイス、エリオット、ナボコフ、ドストエフスキー、フローベール、プルースト、バフチン、バルト、神話・民話、それに親しく交流したサイードらが、引用されるだけではなく、重要な鍵となる。世界文学という枠組みで見なければならない。江の言う「読み直し(リリーディング)」を実践。作品に登場する文学研究者「ローズさん」役を引き受けて語る。それは「女性」が文学を読み、批評をすること。

大江のテーマは、核戦争他カタストロフィーに対する恐怖。それに「女性」。主人公の作家が女性たちに批判を受ける。

工藤は大江論を書くことを「たんに幸運と偶然が重なってのこと、とは考えてはいない」。

……なにしろ大江の「晩年の仕事(レイト・ワーク)」の中心には表現者(原文傍点)になることをめざす「女たち」がいる。(中略、ローズさん、サクラさん、ウナイコ、リッチャン、小説家の親族3人)……かの女らの親しげな声を、励ましと受けとめていけないわけはないでしょう?〉

そういえば、『大江健三郎 作家自身を語る』(新潮社、2007年)の聞き手、『大江健三郎全小説解説』(講談社、2020年)著者は尾崎真理子。

(平野)