2022年10月8日土曜日

本の幽霊

10.4 今週は臨時出勤2日もあり、労働週間。今日は明石。上の階から東を望むとお城の櫓や天文科学館が見える。

 PR2冊で近藤ようこ連載開始。「波」は梨木香歩原作「家守綺譚」、「図書」は「ゆうやけ七色」。

 


10.6 今日の仕事場はいつもと同じ須磨区だけど市営地下鉄沿線、山の中。

 孫電話。姉は昨日の運動会かけっこで隣の子が転んで巻き込まれたそう。直後はご機嫌悪かったけど、ダンスの時は快復したらしい。切り替え早い。妹は姉のなわとび縄を引っ張って遊ぶ。姉に取り返されてフテ寝演技。同じ道具が必要。

10.7 新聞訃報。絵本作家・山脇百合子。『ぐりとぐら』『いやいやえん』。

仕事帰りの電車で本屋店主・モリさんと取次営業・河さんと一緒になる。須磨寺絵本イベント準備の帰途。おふたりには三宮ブックス村田社長死去後の引き継ぎ・事務処理でお世話になった。1年半振り。ちょうど今日箱根で村田さんはじめ出版功労者(物故者)顕彰式典、と河さんが教えてくれた。おふたりに会えたのも故人のお引き合わせ。

 西崎憲 『本の幽霊』 ナナロク社 1500円+税



 ファンタジー7篇、うち本をテーマにした話が6篇。

表題作はロンドンの古書店から通信販売で入手した本の話。確かに届いた、手にとった。「夏のあいだはその窓を開けてはならない」というような文も目に入った。書棚に収めた。古書マニアの友人がそんな本はカタログになかったと言う。改めてカタログを確かめると、ない。書棚にもない。古書店の送り状にも記載されていない。夢か? 謎のまま何年も経つ。仕事独立し、結婚して、引っ越す。妻はまだ実家暮らし。

〈むかしから暗い家が好きだった。そのときの部屋の暗さがなかなか好もしかったのだ。/カーテンはまだなく、月の光が机の天板の端を舐めていた。/机の上に本があった。/本を置いたおぼえはなかった。仕事の資料を置いたのだろうか。/近づいて手にとってみた。/判型はたぶんセクスト・デチモ、褪せた水色のクロス装、サンセリフのタイトル。/開く。//夏のあいだはその窓を開けてはならない (後略)〉

 その先を読もうとしたそのとき、電話が鳴る。妻から、今日は夏至だ、と言う。電話を切ると、机の上に本はなかった。予感はしていた。

 最後に書名を明かす。実在する本。

 他に、「あかるい冬の窓」「ふゆのほん」「砂嘴の上の図書館」「縦むすびのほどきかた」「三田さん」。

(平野)本書に出てくる判型、字体の名称、知らなかった。年だけ重ねて教養・知識が追いつかない。読み始めた本でも読めない漢字や知らないことばでページが進まない。「姑らく問ふを須ゐない」「巾幗逸才者」「煢然孤独」「匹田」「倏ちに顔を赤める」……、これに英独仏語も混じる。