2022年11月16日水曜日

鶴見俊輔の言葉と倫理

11.15 今週と来週は仕事休みあり臨時出勤あり。今日は庭に水景設備のあるマンション。南側には公園もある。のどかな感じだけれど、繁華街に近く、鉄道3本がそばの地上と地下を走る。昼休み庭で本を開くが、風が冷たくて屋内移動、こちらは陽が当たり暑いくらい。

11.16 訃報。映画監督・大森一樹。街中や電車内で何度かお見かけしたことがある。ご冥福を。

 図書館で「西村貫一」調べ。神戸港近くの旅館の三代目、ゴルファーであり文献研究者、ベビーゴルフ場開設。写真は著書の1冊、『趣味のベビーゴルフ』(文友社、1931年)。

 元町、散髪して、「BIG ISSUE442443号。

 



 谷川嘉洋 『鶴見俊輔の言葉と倫理 想像力、大衆文化、プラグマティズム』 人文書院 4500円+税



 1990年生まれ、哲学者。予備校時代、講師に勧められて鶴見の著書を読んだが、読みづらいと感じた。鶴見は回想や人物・出来事のエピソードを次々紹介するのだが、メッセージを読み取ることができなかった。たとえば、埴谷雄高も丸山眞男も中学生時代に映画「カリガリ博士」を見た、暗闇でギャーという声を聴いた、徳川夢声の活弁だった、という話。何が何だかわからない。ファシズムの予感とその後の抵抗を意味するのだろう。

 鶴見は多様な活動をした。哲学、市民運動、詩、出版・編集、大衆文化・サブカルチャー研究などなど。

谷川は、彼のエピソードや名言を眺め喜んで本棚に飾るのではなく、「哲学者として妥当な仕方で」言葉を読み解く。

〈鶴見俊輔の哲学に価値があるのだとすれば――私はあると思うが――、彼の言葉を、そんなよそよそしい位置に放っておかずに、深く、適切に読み解くことで、彼の知的遺産をきちんと相続した方がいい。私が本書で試みるのは、彼の言葉を深く解釈し、現代の私たちが生きうる倫理へと再編集する事であり、その仕事を通じて、彼の哲学を知的遺産として批判的に継承することだ。まともに読み解くことなしに、鶴見の言葉を、私たちの時代の経験に帰ることはできない。〉

 

(平野)私は、鶴見が自分を悪人と認めそれでも理想を求めること、敗者の側に立つことを尊敬する。失敗や後悔にウジウジクヨクヨすることを許してくれることも。

版元のサイトで、初版の間違いを訂正。良心的。私は人名の誤植見つけた。