5.27 孫に宅配便。ヂヂババあれもこれもと詰め込む。ほとんど食べ物。育ち盛りの食いしんぼ。
孫動画届く。姉妹ハッピーバースデー合唱。天使の歌声。ヂヂバカちゃんりん。
■ 『上林暁傑作小説集 孤独先生』 山本善行撰 夏葉社
2800円+税
古書善行堂店主が撰んだ11篇。
表題作「孤独先生」は中学時代の数学「各務(かがみ)」先生のこと。学校の「名物先生」なのだが、派手な話題のある先生ではない。
〈しかし、各務先生を名物先生と言っては、語弊があるかもしれない。各務先生に傾倒している校友が聞いたら怒るかもしれない。彼等にとっては、各務先生は、名物先生と言うよりは、それ以上に、もっと神聖に考えられているのである。〉
田舎の中学に30年勤め、歴代のいたずら者や落第者たちが先生を慕う。生徒の服装に口やかましく注意し、生徒の方もわざと乱して注意を待ち受けている。授業でも生徒の珍答やいたずらに動じない。単身赴任を通し、社会の動静に動かされず、出世を目指さず、楽しみは囲碁。
〈……十年経っても二十年経っても、僕達に忘れられないのは、あの各務先生の孤独に徹した風格と人間味なのである。〉
僕(上林)は卒業して20数年後、先生と町ですれ違う。僕は親戚の家に身を寄せていた。声を掛けようと思うが、「自分に自信を喪って最も落魄感の強かった時期」ゆえ、先生を見送るのみ。先生も気づかず去った。懐かしい、けれど寂しい。
美しい本。装丁・櫻井久、絵・阿部海太、「手風琴は古びた」の挿絵も。
(平野)