2024年2月1日木曜日

江戸に欠かせぬ創作ばなし

1.28 「朝日俳壇」より。

〈読初(よみぞめ)や今年も百冊読むつもり (山梨県市川三郷町)笠井彰〉

「朝日歌壇」

〈紙の本、紙の新聞、アナログの言葉は真っ直ぐ心に届く (観音寺市)篠原俊則〉

〈開館と同時に自習室へ行く受験の生徒の大きなマスク (札幌市)藤林正則〉

 午前図書館。ある資料で昭和戦前に雑誌「神戸っ子」があったと知る。いつもお世話になる司書さんに訊ねると、いろいろ調べて探し出してくださった。ありがたいこと。

わかったこと。

1. 1931(昭和6)年、大丸神戸支店の社内誌「神戸っ子」創刊。

2. 1954(昭和29)年、元町商店街PR誌「元町」創刊。

3. 大丸神戸支店長が誌名「神戸っ子」を「元町」に譲り、1961(昭和36)年「神戸っ子」に改題。

4. 中央図書館には大丸時代の「神戸っ子」1935(昭和10)年8月号、12月号、36(昭和)112月号、4月号、5月号、6月号、7月号がある。大丸と元町などの商店・喫茶店が会員として編集。

創刊当時の状態は不明。図書館所蔵分の内容は改めて紹介したい。だいぶ先のことになる。

1.30 家事をすませて、神戸市文書館。みずのわ一徳社主と資料探索。戦前の神戸絵はがきと地図を多数出してもらう。絵はがき選択と撮影で時間かかる。地図は年が進むたびに情報統制がわかる。裏面には観光案内や官公庁や学校名簿。商工業の名簿(広告か)掲載地図も。地図調べは次回となる。社主と一杯飲んで別れる。彼は大阪に向かう。忙しい。

 

 岡本綺堂 『綺堂随筆 江戸に欠かせぬ創作ばなし』 河出文庫 900円+税



 2003年河出文庫版を新装改題。江戸言葉、江戸から明治の言葉の変化、演劇評論、寄席と芝居、自作(戯曲、小説)についてなの随筆集。怪談もあり。

「言葉は正しく」より。

 東京の言葉と地方の言葉に相違があり、混同がある。たとえば、「ま、お待ちなさい」の「ま」は関西系。東京では「まあ」、「さあ」は「さ」、「もひとつ」は「もうひとつ」。綺堂が不愉快なの「~している」が、「~してる」「見てる」「~しちゃう」。明治の末頃から酒場の女性たちが使っていた。これを学生がモダン語と思って真似。綺堂は「低俗野卑、にがにがしいこと」「下等の言葉」と厳しい。「物を書こうとする人々に向かって」苦言を呈する。

〈ある特殊の人物を描く場合は格別、その他の人物はみな正しい言葉を用ゆべきである。一種のスラングは特殊の人物に限ることにして、他の人物は正しい言葉を用いるのが、小説や戯曲の法である。これは私が説明するまでもなく、外国の小説や戯曲をよめば直ぐに判る。コナン・ドイルの小説が英国の家庭に汎く愛読されるのは、探偵小説の興味ばかりではない、彼がグード・イングリッシュを書くからである。良き作家は正しき言葉を書くことを忘れてはならない。〉

(平野)