2024年2月15日木曜日

日本の裸体芸術

2.10 図書館でこまごま調べもの。西村貫一と鈴木商店のことなど。

2.11 「朝日歌壇」

〈三木卓の詩集小説童話読み最後に読むは『日本の昆虫』 (新潟市)浜田良男〉

〈家持も釈迢空も今在らば能登の地震を何と詠むらむ (町田市)山田道子〉

〈避難所で追い込みをする受験生赤本を置くダンボールの上 (出雲市)塩田直也〉

〈われならば晶子、白秋、新札の一万円には茂吉を選ぶ (名古屋市)山守美紀〉

「朝日俳壇」

〈図書館のストーブ僕のためにだけ (京都府京丹波町)三井田秀太〉

2.13 みずのわ一徳社主と神戸文学館企画展陳舜臣生誕100年を記念して「神戸が生んだ名探偵 陶展文の事件簿」414日まで(水曜日休館、祝日の場合は翌日)、入館無料。会場に陳さんの海岸通の住まい「三色の家」復元模型あり。明石高専水島あかね研究室制作。2017年開催「神戸物語 陳舜臣とミステリー館」(KIITO)で展示したもの。

「陶文展」はシャーロック・ホームズや金田一耕助ほど著名ではないが、陳さんが生んだ「神戸の名探偵」。チラシのビルは海岸通の「商船三井ビル」だが、ここがモデルと思われるビル内で主人公は中華料理店を経営。




社主がかつて住んだ春日野道界隈をウロウロして、市場(9割方閉店)の中の喫茶店に入る。妙齢のおばあちゃまたちの溜まり場。じいさんはどこ行った?

坂を登って神戸市文書館で資料探し。隣の机の男性は英文資料を繰っておられる。

社主多忙は毎度のこと、今晩京都、明日東京出張で、来週また神戸。

2.14 暖かくて作業楽になる。隠れていたハエにカメムシにてんとう虫が出てきた。

 

 宮下規久朗 『日本の裸体芸術 刺青からヌードへ』 

ちくま学芸文庫 1300円+税



 神戸大学大学院教授、美術史。『刺青とヌードの美術史』(2008年、NHKブックス)に加筆。

「幕末から明治を中心に、裸体と裸体芸術をめぐる変化とその後のヌード表現のなりゆき」を追う。

 明治になるまで日本人は人前で裸体でも平気だった。戸外でも裸体で働いたし、風呂は男女混浴。この「混浴」に西洋人は「日本人には羞恥心がない」と驚いた。「文明開化」で裸は「野蛮」となり禁じられた。同時に西洋から「裸体芸術」がもたらされた。

 江戸時代の日本人は裸であっても、他人の裸体を凝視することはなかった。そういう道徳が共有されていて、裸体に「性」を感じることがなかった。逆にこっそり「覗く」ことは「恥」であり不道徳だった。

 西洋の裸体芸術が広まり、美術館で公然と鑑賞する=凝視することになる。現在、野外に多くのヌード彫刻が展示され、雑誌にヌード写真が掲載される。日本に裸体芸術は定着したのか、私たちは西洋芸術のヌードを理解しているのか。

「裸体芸術」から見れば高尚な芸術ではないと排除されたものがある。その代表が「刺青」。宮下は「日本の誇る美術」として評価する。

(平野)