6.18 梅雨は明けたのか? 連日猛暑、熱中症にご注意を。
拙著につき三宮の本屋さんに営業。一軒はだいぶ前からお知らせしていたけれど、もう一軒は初めて。次回仕入れ数を決めてもらうことにする。
6.19 拙著、印刷開始。みずのわ社主は印刷に立ち会うため富山入り。各工程の実況写真続々着。胸ドキドキ。
午後、ギャラリー島田DM作業。本完成に合わせてご縁のある画家さんたちが出展してくださる。ありがとうございます。
帰り道、本屋さん、古本屋さんにDMお持ちする。
「BIG ISSUE」505号、家人が六甲道駅で買ってきてくれる。
■ 高瀬乃一 『往来絵巻 貸本屋おせん』 文藝春秋 1700円+税
江戸幕府寛政の改革の主眼は経済・財政政策の立て直し。改革は思想・情報の統制にも及ぶ。朱子学振興の一方で洋学を禁じ、政治批判を許さず、風俗粛正に目を光らせた。出版はそのターゲットになる。おせんの父は名高い彫師だったが、禁制の本に関わったとして処罰された。板木は削られ、指を折られ、失意のうちに自殺した。
〈このご時世、浮説之儀(ふせつのぎ)やら猥成儀(みだりなるぎ)、異説と類する読物は開板(かいはん)するのが難しい。/かつて筆禍により絶板の憂き目に遭った書物の類は、せんのような貸本屋が一字一句違(たが)うことなく書き写して写本を拵えてきた。連座して処罰を受ける貸本屋も多かったが、御公儀の締めつけが厳しくなるほど、貸本屋は増え続けている。〉
岡っ引きにマークされているが、書物を「守っていくのが貸本屋の使命でもあるとせんは思っている」。
おせんは江戸の町を歩きながら、出版・本に関わる事件に首を突っ込む。奉行の失態を批判した狂歌の犯人探し、神田明神祭の絵巻とその裏で起きた殺人、心中の濡れ衣、禁書をめぐる騒動、よその本屋の板木で利益を貪る似而非本屋。おせんの正義と出版を守る姿が凛々しい。
ある話でおせんは探している御法度本の関係者(女房持ちの植木職人)に近づき、気のある素振りをチラチラ……色仕掛け? おせんはそんな人じゃない! おせんに何か策略があるか、著者のいたずらと思ったが、結局著者にヂヂイが騙された。
(平野)