■ 辻山良雄 『365日のほん』 河出書房新社 1400円+税
荻窪《本屋 Title》店主。Webページで「毎日のほん」を毎日更新、それに新刊紹介も行っている。
私は本書をそれらの情報をまとめたものと思っていた。たいへん失礼いたしました。すべて書下ろし。本屋経営に加えて、連載やらインタビューやら引っ張りだこなのに、一体いつ寝ているの?
〈毎日、書店の店頭には数多くの新刊が入ってきます。日々、それに触れることを繰り返しているうちに、「光って見える本」が自然とわかるようになりました。著者の内にある切実なものをすくい上げ、生まれるべくして生まれた本には、はじめて見たときでも「ずっとこの本を待っていた」という気持ちにさせられるものです。そうした強い必然性を持った本は、ぱっと見ただけで、他の本とは違う輝きを放っています。〉
装幀もサイズも本文インクも、かわいい! 爺さんが手に取っていいものか、すこし戸惑う。《考える本》《社会の本》《ことば、本の本》《文学・随筆》《自然の本》《アート》《くらし・生活》《子どものための本》《旅する本》《漫画》など柔らかくジャンル分け(複数のジャンルになる本も)し、春夏秋冬を考えて配列。
たとえば11月は《考える本》、國分功一郎『暇と退屈の倫理学』で始まる。
〈哲学は古くカビが生えたものではない。/哲学とはいつの時代でも、「どうやって人間らしく生きるか」を真剣に考えることだ。(後略)〉
続いて、《アート くらし・生活》、『柚木沙弥郎 92年分の色とかたち』。
〈歳を重ねるごとに若くなる。自由に布のうえで舞い、踊る、色とかたち。/「芸術」や「民藝」といった大げさなことばのうえには納まらず、みずみずしい驚きを追いかけた人生。(後略)〉
本を読むこと、選ぶことが楽しくなるよう提案してくれている。
《Title》店内を回遊している気分。
(平野)著者のお店で購入すると特典あり。