■ カラサキ・アユミ 『古本乙女の日々是口実』 皓星社 1000円+税
1988年生まれの古本乙女、元は高級ファッションの販売員。本好きの母親・祖母(父親は本屋巡りのアッシー役)の影響で、小学生時代から古本愛好。古本行脚の奮闘ぶりと喜びを4コママンガで表現、エッセイもあり。
自身を、「本との出会いを求め、本を探し、本を見つける作業が大好きだ」が、コレクターでもマニアでもなく、「常にユルい気持ちで古本に対面している、永遠のビギナー的なスタンス」と言う。
ビジュアル・アート系がお好み。
買い込んだ本を背中のリュックに入れ、両肩から下げ、両手で持ち、ふらふらになりながら家路をたどる姿は涙ぐましい。古本屋を見かければ入らずにいられない。電車の窓から見える「古本」の文字(たとえ苗字でも)や「売ります、買います」も見逃さない。普通人から見れば、狂の世界の人。
〈世間一般の常識なんか関係ない、枠なんか決めずに自分の好きなように好きなだけ楽しむ、そのために頑張って働いて軍資金を作って好きな事に投資する。》
古本の世界もネット販売が当たり前になった。確かに便利で効率よく、しかも24時間無制限。
〈だが、私は直に書棚を見て手で触りページをめくり買うか買わないかを一瞬の時間で判断する行為にこだわって自分の足を使って古本行脚をするようにしている。そもそもこれといって名指しで探している本がない。ある日偶然に出会った琴線に触れた一冊こそが私の求めている本だからである。だからネットの検索ワードに入力が出来ない。本のタイトルはじめ全てが“未知”だからだ。〉
さて、マンガには相方さんが登場する。本好きという共通点がスタートだったそうだが、あちらは「理性の塊」「本制約推進派」。当然衝突もある。「今年晴れて夫婦となった」の言葉になぜか他人がホッとする。
(平野)皓星社は「ハンセン病文学全集」で知られる。硬い本のイメージだった。同社の新刊でもう1冊ほしい本があり、本屋さんの棚で見つけてある。いっしょに買えばええやん、ですが、次行く楽しみに置いてある。残っているかな。