■ 古山高麗雄 『編集者冥利の生活』 中公文庫 1000円+税
解説 荻原魚雷
旧制高校を中退して「ルンペン」生活、徴兵されて「ダメ下級兵」、敗戦後戦犯容疑で抑留、復員して編集者になるが「ダメ社員」、と自嘲する。しかし、友と出会い、師と言える人に巡り合う。新しい雑誌に誘ってくれた人がいる。
〈編集者ぐらい潰しのきかない職種はない、と言われる。そういうことも言えるかもしれないが、編集者であったがための人との出会いがあり、編集者ぐらい恵まれた職種はないとも言えそうである。〉
勧められて小説「墓地で」を書いたのは49歳、戦争体験を題材にしてきた。
〈創作の経歴を問われると、私はかつて、今はもう茫昧のそこに没んでしまった短篇を一つ書いたことがあったということを思い出します。それから戦争から帰って来て、描きたいと思いながら書けなかった数年間と、それに続く、書こうという気持がなくなっていた二十年間を振り返ります。ただ、二十年間書こうという気持がまったくなかったかどうか? 自分を問い詰めていくと、まったくなかったのではなくて、そう思えるほど希薄になっていたのは確かだけれども、どこかで描きたいという気持が、燠火のような状態で燃え続けていたのだと思います。〉
解説の荻原が古山の幻のデビュー作「裸の群れ」(『雄鶏通信』1949年11月号)を掲載。俘虜生活での思いもかけない体験を描いている。
(平野)
赤ん坊が来て、ブログも原稿も投稿も中断。赤ん坊と遊ぶのはほんまに楽しい、うれしい。けど、身体がついて行かない。