2018年9月2日日曜日

おやすみ、東京


 吉田篤弘 『おやすみ、東京』 角川春樹事務所 1600円+税
 
 
 東京、深夜から翌朝まで仕事をしている人たち。映画撮影所で翌日必要な小道具を調達する人。夜間専門タクシードライバー。24時間電話相談オペレーター。新聞配達人。深夜食堂。夜開店する古道具屋。オールナイト映画館で働く人、観に行く人。バー。電話機回収業者。それに映画俳優やら泥棒やらマジシャンやら名探偵(一人何役もあり)……

 主人公たちは、モノを探し、人を探し、恋愛問題を抱え、家族の面影を求める。人と人が出会って、話して、時にはすれ違って、ひとつひとつ問題が解決してゆく。タクシードライバーがつぶやく。

〈人と人がどんなふうにつながってゆくかは、さまざまな理由があり、その理由となる道筋やきっかけが、この街には無数にある。この街でこの仕事をしていて、いちばん感じるのはそれである。「偶然、出くわす」確率が圧倒的に高い。〉

 彼らはそれぞれ悩みを抱えている。決断しなければならないと思っている。それぞれが、もう一歩踏み出せば、もうひとつパズルのピースがあれば、と。一方、次に進むために過去を断ち切りたい人もいる。パズルを完成させることが「次」ではないことがある。遠回りが必要な場合もある。

(平野)
 ジンカルチャー研究者にいただいた《ZINE》を参考にして、赤ん坊写真集(A4裏表)制作。折り方・広げ方を工夫しないといけない。