12.2 昼休み本は本棚鎮座したままだった『川崎彰彦傑作撰』(北海道新聞社出版センター、2016年)。公園読書は春までやめ。
礒崎純一『龍彦親王航海記』(白水社)読了。1987年8月5日朝、澁澤の母は庭を見ていた。黒い蝶があらわれ自分の前をひらひら舞う。息子の死を直感した。
〈その日の午後三時三十五分、都内の病室で軽動脈瘤が破裂し、澁澤龍彦は死んだ。享年五十九。/真珠のような大粒の涙がひとつ左の目からこぼれて、一瞬の死だった。その死は読書中の出来事である。〉
12.3 図書館調べ物。「関戸由義(よしかず)」という明治初めの兵庫県役人・実業家。居留地造成など都市計画・道路整備を立案、指導。長らく出生・経歴など不詳で伝聞情報が多かった人物だが、近年研究が進んでいる。
12.4 電車内読書はPR誌『波』12月号(新潮社)。創刊600号記念で筒井康隆「南蛮狭隘族」。筒井流反戦小説。北村薫「ゆき」(後篇)は有名な江戸俳句の作者探し。先輩作家たちの三島由紀夫いじり話から始まる。その句が出てくる山田風太郎作品、三代目三遊亭金馬落語、俳句全集・川柳全集・俳人逸話集渉猟。新潮社編集者も巻き込んでの謎解き。他の作家たちのエピソードや映画の話も入れながら、いじられ三島、で締める。さすがさすが。11月号も取っておかなくては。
その人でなくてはできないことをしている人が無残な目に遭う不条理。ご冥福を。
12.5 花森書林に本を引き取ってもらう。家人の雑誌や料理レシピ本と古い文芸書など。前回と同じギャグを入れる。
「孫が帰ってくるので白身の魚を食べさせてやりたい、お情けを~」木枯らしや古書を売るヂヂ泣きを入れ (よ)
(平野)