5.17 買い物で元町から三宮。あちこち店舗営業再開し、人出も先週よりかなり増えた。スーパーの入口で友人夫妻と遭遇しておしゃべり。
岩波文庫版『サロメ』捜索、物置で無事発見。福田恆存訳、初版は1959年1月第1刷。私が所持するのは79年11月23刷。福田は58年に新潮社から限定2000部で『サロメ』を刊行している。岩波版の「解題」は約11ページ、ワイルド演劇やビアズリー挿絵について、新潮社版解題に譲る、と端折っている感じ。総ページ数の関係があるだろう。岩波文庫はページ数によって★印で価格を表していた。約100ページで★1つ(59年当時40円)。『サロメ』は106ページだから、初版当時は★1つ。私の79年版は「\150」と星印「✩★」(79年から✩100円★50円)両表記である。
さて、福田の「解題」は当然ワイルド中心。ビアズリーについては1ページのみ。絵は18枚。原文は旧字旧かな。
〈挿絵を書いているビアズレーは一八七二年に生れ、一八九八年に死んだ天才的な挿絵画家である。ほとんど黒と白だけのペン画を描いたが、そのプロポーションの歪曲、マスの黒い部分と細い線との巧みな対照、非現実的な怪奇趣味、それらの特徴をもって、ワイルドたちの反俗的芸術至上主義とともに、世紀末の唯美主義運動の一翼をになった人物である。その画風はまた日本の浮世絵の影響を受けたと言われている。(中略)/挿絵とはいっても、いずれも作品の筋や性格を追うものではなく、ワイルドの『サロメ』に想を得たビアズレー独自の作品であり、中には作者のワイルドを嘲笑して戯画化したものまである。(後略)〉
『岩波文庫総目録 1927-1987』(非売品、1987年)は岩波(セマ)さんが贈ってくださった。改めて御礼。『サロメ』と同時発売は、土屋文明編『子規歌集』、ロシュフコオ『箴言と考察』など。
5.18 野鳥の巣観察。母鳥、「たまご だいじ だいじ」。私が近くを掃除している時は悠然とあっためているが、カメラを向けると飛んでいく。抱卵のジャマしちゃ、いかん!
(平野)