10.13 「朝日歌壇」より。
〈中学の全校生でイナゴ取り図書費作りき昭和のわれら(山形市)佐藤清光〉
家人と京都大谷本廟墓参り。他に用事もなく、午後早めに帰宅。
10.14 家人と六甲アイランド、島内別行動。ヂヂは神戸ゆかりの美術館「宮城県美術館コレクション 響きあう絵画」。同館改修工事長期休館中に際して、所蔵品巡回。宮城県や東北地方ゆかりの作品、海外作家の作品、洲之内徹コレクションなど74作品。
10.15 早朝福岡さんからメール。13日古書店主・山田恒夫さん逝去。海文堂書店での古書イベント開催と「古書波止場」開設に尽力くださった。先日はSNSで名古屋ちくさ正文館の古谷一晴さん逝去のニュースあり。ご冥福を祈る。
10.16 新聞記事で神戸元町生まれの人形作家・吉田太郎さん2月逝去を知る。からくり仕掛けの「神戸人形」を復活させた人。詳細は「神戸人形のウズモリ屋」公式ページを。
https://www.kobotaro.com/kobedoll/index.php
■ 『大江戸綺譚 時代小説傑作選』 細谷正充編 ちくま文庫
800円+税
江戸を舞台にした時代小説怪談集。ほんわか因縁ばなしや真相究明もあるが、恐い怖い。人間の心にある恐怖や恨み、悲しみが怪談を作り出す。
木内昇「お柄杓」 木下昌輝「肉ノ人」 杉本苑子「鶴屋南北の死」 都筑道夫「暗闇坂心中」 中島要「かくれ鬼」 皆川博子「小平次」 宮部みゆき「安達家の鬼」
「安達家の鬼」より。
紙問屋・笹屋の嫁「わたし」は義母の介護。「わたし」は家族の縁薄く、笹屋と同業の店で女中奉公(子守りと病人の世話)していて、縁談。義母には不思議な力がある。若き日の苦難時から鬼に守られていた。「わたし」は鬼が見えない。義母は、おまえの心が清いあかし、と言うのだが、
〈「人は当たり前に生きていれば、少しは人に仇をなしたり、傷つけたり、嫌な思い出をこしらえたりするものさ。だからふつうは、多少なりとも“鬼”を見たり感じたりするものなんだ。だけどおまえにはそれがない。ということは、おまえはあまりにもひとりきりで閉ざされた暮らしをしてきて、まだ“人”として生きていなかったということなのだよね」/これからだよ――と、呟くようにおっしゃいました。(中略)/「良いことと悪いことは、いつも背中合わせだからね。幸せと不幸は、表と裏だからね」/辛いことばかりでは、逆に“鬼”も見えないのかもしれない――だからやっぱり、おまえはこれからなのだよ。〉
義母が亡くなり、「わたし」は“鬼”の姿を見る。微笑んでいる。義母のまなざしに似ている。声をかけると“鬼”は消えた。義母の声が聞こえる。「――人として生きてみて、初めて“鬼”が見えるようになるのだよ」。
(平野)