2026年10月29日木曜日

詩文集 葦の地方

10.25 「朝日歌壇」より。

〈ふと散歩がてら立ち寄り平積みをめくる楽しみ消えて八年 (川崎市)中野結太〉

〈手にするはスマホばかりの電車内吾は読む「九十歳。何がめでたい」 (船橋市)清水渡〉

〈家具を捨て本棚を捨て本を捨て濡れ畳四十六枚を捨つ (羽咋市)北野みや子〉

〈本棚の中身を変えた 恋人が部屋を訪ねてくる日の前は (金沢市)竹内一二〉

10.26 ようやく季節が入れ替わる。愛書家・大狸教授から本に関する資料届く。古書に関する随筆もあり。金策に迷ううち稀覯本を買い逃し、先達に無念を愚痴ると、「古書は見た時に態度を瞬時に決めなければいけない、迷ったら負けだ」と説かれた話。古書蒐集趣味はないが、本をめぐるドラマは面白い。

10.27 大狸教授にお礼メール送信して、図書館に向かう。図書館帰りの教授にばったり。雑誌リサイクルフェアとかで処分する雑誌をもらえると教えてくださる。覗いてみると、昨年退職された司書さんにお会いできた。いただいたのは『ユリイカ 2020年1月号  特集・和田誠 1936-2019』。和田さん追悼号。

 帰宅してニュース見たら、漫画家・ちばてつやさん死去の報。私の思い出の作品は、小学生時代に読んだ「ちかいの魔球」「紫電改のタカ」。

 テレビのクラシック番組の音色かと思ったら、家人に届いた孫(姉)のピアノ演奏動画だった。ヂヂババともにバカバカちゃんりん。

 

小野十三郎 『詩文集 葦の地方』 中公文庫 1200円+税



 小野十三郎(とおざぶろう、本名・藤三郎、1903~1996年)、大阪生まれ、詩人。大阪文学学校の初代校長。大阪を拠点にしたアナキズム、反戦の詩人。伝統的な「短歌的叙情」を、封建制や戦争礼賛に利用されるのではないか、と批判。

「葦の地方」

遠方に 波の音がする。 末枯れはじめた大蘆原の上に 高圧線の弧が大きくたるんでゐる。 地平には 重油タンク。 寒い透きとほる晩秋の陽の中を ユーフアウシアのやうなとうすみ蜻蛉が風に流され 硫安や 曹達や 電気や 鋼鉄の原で ノジヂギクの一むらがちぢれあがり 絶滅する。

 

「葦の地方」とは、大阪港に注ぐ河川の岸辺の埋め立て地=工業地帯。

 (平野)