2014年4月16日水曜日

彼等― they―


 稲垣足穂 『彼等they』タルホスコープ 現代思潮社 19749月刊

タルホスコープ構成 川仁宏  

解題 萩原幸子

目次  彼等(they)  菫とヘルメット  蜩  レーディオの歌  北落師門  菟(lepus)  古典物語  明石 

『彼等』は1948年桜井書店刊。『明石』も同年小山書店刊、63年木村書店再刊。

現代思潮社は69年から70年にかけて足穂作品を『足穂大全』(全6巻)にまとめたが、収録できなかった作品をタルホスコープとして本書他全4巻(『桃色のハンカチ』『ヰタ マキニカリス』『弥勒』)に収めた。

『彼等(they)』

香水をつけている男子転校生F君(病気療養中に亡くなる)、師範学校附属小に通う年上の松浦さん、身体が弱く学校に行けない赤沢さん、叔母さんと二人暮らしの発ちゃん(兄さんが大学野球選手)、中学受験の予備校に行っているお寺の坊ちゃん、瞳の大きな睫毛の長い混血児みたいな角谷さん……懐かしい少年時代の友たち。彼らの多くは若くして亡くなってしまった。



 

本書、私は古本市で入手。ページ上部がうまく裁断されていない。こういう本がごくたまにあって、お客さんは「不良品だから交換して」と言ってきはります。交換には応じていましたが、私はこれは「福紙」と先輩に教わりました。「えびす紙」ともいって、めったにないことなので縁起ものです。広辞苑にも載っています。信用してください。
 それから本書には前の持ち主の痕跡メモが入っていました。

(平野)
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