■ 岡崎武志 『気まぐれ古本さんぽ』 工作舎 2300円+税
ラジオやテレビでも活躍する古本ライター。
『彷書月刊』休刊後、『日本古書通信』に連載した古本屋さんルポ。18年におよぶ全国漫遊の旅は岡崎のライフワーク。古本屋探訪だけではなく、街の雰囲気やその土地にまつわる本の話も伝える。〈帰り道に口笛が出るような坂道の古本屋〉〈チンチン電車で「てなもんや」!〉〈泪橋を渡って立つんだジョー!〉〈荷風の影を慕いて市川へ〉〈三鷹聞いたかこの賛歌〉……、ダジャレもあるけど、とにかく楽しく読ませてくれる。
本書では2006年から9年分掲載。この間、紹介した店の閉店やネット販売移行など寂しい現実がある。
《古本屋へ行くための明日がある。それだけでも、生きる勇気が湧いてくるのだ。古本屋巡りの楽しみを若いうちに知って、続けてくることができてよかったと思っている。そんな奇妙な情熱が、読者に少しでも伝わってくれれば、書いた甲斐があったというものである。そして古本さんぽはまだ続く。》
カバー、装画は石丸澄子。
新刊書店ながら海文堂も取り上げてくれ、応援してもらったのに、あえなくダウン、ノックアウト。そのことも加筆してくれた。感謝いたします。
(平野)