12.12 ギャラリー島田開催中の展覧会画家のトーク。
〈戸田勝久×林哲夫 「本くらべ、ハンター坂の晝さがり」〉聴講。
ふたりとも書物をモチーフにした作品多数あり、且つ古書愛好家。展覧会会場でも蔵書を販売している。トークでは愛蔵書10冊(掛け軸1点含む)を持ち寄り、蒐集・読書歴を語る。戸田は美術と書物の師匠たちゆかりの限定本・特装本を中心に紹介。門外不出の書や資料を披露してくださった。林は神戸の古書店で入手した奇本と店主との関わりを話す。戸田は師匠から古書店主と親しくなるな、と教えられた。林は店主と仲良くなってしまう。選書した本も対照的だが、愛書精神は同じ。小学生の頃、共に漫画好きで漫画家になりたかったそう。
展覧会は20日(日)まで。トークの模様は林哲夫ブログで紹介。
■ 橋口幸子 『こんこん狐に誘われて 田村隆一さんのこと』 左右社 1700円+税
1980年代の話。著者は校正者、鎌倉に住んだ。大家は詩人・田村隆一の4番目の妻。田村は別の場所で別の女性といた。妻は恋人(詩人、田村の親友)と暮らしていた。田村が鎌倉の家に帰りたい、と言ってきた。恋人は家を出た。店子と大詩人との生活が始まる。詩人は酒浸りだが、静かに暮らしていた。「火宅」なのだが、つかの間約3年の平穏だった。詩人の妻は持病悪化で入院。著者夫婦も経済・肉体・精神が疲労した。田村は最後の妻が引き取った。
「こんこん狐」とは、酒浸りの田村が定期的に断酒、すると向こうの山から酒を誘いに来る狐のこと。
(平野)