2020年12月17日木曜日

路上のポルトレ

 12.14 河内の友から喪中はがき着、母上逝去。電話でお悔やみ。

 12.15 ようやく12月らしい寒さになった。

「朝日新聞」大阪本社版夕刊第一面に「命のビザ 神戸にユダヤ人がいた」の記事。1940年にナチスの迫害から逃れたユダヤ人難民(杉原千畝命のビザ)がシベリア経由で日本に。彼らは神戸でアメリカやオーストラリアに向かう船を待ち、数ヵ月間を北野町・山本通で過ごした。彼らの生活を支えた「共同体」の跡地(山本通1丁目)に地域住民との交流を紹介する案内板が設置されている。



 次の「元町原稿」用資料を見ている。今月末提出の原稿もできていないのに。あっちこっちでどっちつかず。机の周りは資料本がとっちらかっている。

  12.16 マンション勤務中に初めて警報が鳴る。びっくりする。慌てる。居住者お留守、連絡して帰宅してもらう。警備会社や会社関係に連絡。大事にならず一安心。

 

 森まゆみ 『路上のポルトレ――憶いだす人びと』 羽鳥書店 2200円+税



 著者は1984年に仲間と地域雑誌「谷中・根津・千駄木」(通称「谷根千(やねせん)」)創刊、2009年終刊。地域の歴史、文化、人びとの記憶を掘り起こし、記録。歴史的建造物や町並み保存運動にも取り組む。文人評伝や紀行など著書多数。

 本書では、雑誌取材・地域活動で出会った人たちを回想、追悼。著名な学者、文化人から芸人さん、在野の研究家や市井のおじいちゃんおばあちゃんまで。広く浅く、時に深く交流した師、友、同志たちのこと。

〈人との接触を断たれている毎日の中で、かつて出会った人とのことをなつかしく憶い出す。声も眼差しも口元の表情も背中も覚えている。(中略)わたしの記憶は今もさらさらと砂のようにこぼれ落ち続けている。/ともあれ、それを自分だけのものにするのは惜しい。そう思うのも執着であり、因果だろう。この世で見たこと、感じたこと、会った人のことを次の世代に手渡したい。文化とは記憶の継承であり、わたしはただ、上の世代と下の世代を結ぶ環(リング)に過ぎない。〉

(平野)