1.10 北摂墓参り、親戚宅で昼食。
1.11 成人の日、我が家は関係なし。神戸市の式典は延期だそう、気の毒。買い物に出たら、晴れ着姿の娘さん発見。「BIG ISSUE」398号はジョン・レノンの表紙。
時代小説二冊目。
■ 河治和香 『ニッポンチ! 国芳一門明治浮世絵草紙』 小学館 1700円+税
絵師・歌川国芳とその一門の物語。前作『国芳一門浮世絵草紙』(小学館文庫、全5巻)は国芳の長女登鯉の目を通した話だった。本書では、次女芳が新時代を生きた弟子たちと自身を語る。時代の波に乗った者もいれば、落ちぶれた者もいる。弟子を育て一門の枝を広げた者もいる。芳は「国芳の娘」と持ち上げられたり、突き落とされたり、世間にもまれて生きた。
国芳の絵と人柄に弟子たちが集まる。皆個性豊か、一癖二癖ある。河鍋暁斎は7歳で国芳に弟子入りしたが、親に連れ戻され狩野派の塾に入れられた。ほんの2年ほどの弟子だが、国芳を慕い、一門に可愛がられた。仮名垣魯文の小説に挿絵を描き、彼と組んで新聞に風刺画=ポンチ絵を描いている。明治6年国芳13回忌、暁斎酔っ払って芳に構想を話す。
〈「ワーグマンの『ジャパン・パンチ』の向こうを張って、日本のポンチだから……『ニッポンチ』って……」
お芳がくすくす笑うと、暁斎も悦に入ってスイスイ盃を重ねている。
「ニッポンチ……いいだろう? やるぞ、ニッポンチ!」〉
本格の絵もポンチ絵も描く人気絵師。58歳、胃がんで亡くなる。娘は美大の教授になったという。
(平野)